67もや ページ23
赤葦京治の誕生日────12月5日当日。
今日は監督から頼まれている作業があり、放課後教室に残って、やらなければいけなかった。
だがそれは運のいいことに、赤葦とAに頼まれている作業だった。
Aは内心盛大にガッツポーズし、手際よくホッチキスでプリントを止めていきながら、今か今かとチャンスを伺う。
A「.......あの、赤葦くん、」
赤葦「うん。」
A「今日誕生日でしょ?」
赤葦「あれ、知ってたの?」
A「さわから聞いたの。
おめでとう!」
赤葦「そうだったんだ、ありがとう」
A「赤葦くんを産んでくれたお父さんとお母さんに感謝だねー」
赤葦「どうしてAさんが感謝するの?」
A「赤葦くんと喋るの、楽しいから。
こうやって雑務とか作業してるときも、なんとなく楽しんでやれるもん。赤葦くんと一緒だったら。」
しまったなー。
我ながら引いた。自分に引いた。
ちょっと気持ち悪いことを言ってしまったかもしれない。
ああ、告白する前に引かれたらどうしよう。
そう思って焦っていたのに。
赤葦「そんな風に思ってくれてたんだ
嬉しいよ、ありがとう。」
A「いや、あの、」
赤葦「俺も、Aさんと喋るの楽しいよ。
ってか、近くに居られるだけで嬉しいんだよ?」
A「どうして...?」
リズミカルにパチンパチンとなっていた音が、だんだん遅くなって次第に止まる。
気づくと、手が震えていた。声も。
だめだ、だめだ。
自惚れるから。いい結果を期待しちゃうから───
赤葦「あのさ、俺、結構前からAさんのこと好きだったよ」
え、それ、想定外。
なになに、何かのドッキリとか?
告白ドッキリ、的な?
いやいや、古い?
それに、赤葦くんがそんなことするとは考えにくいかも。
そんなことを表面では考えているけど、心の奥底では何かが爆発した───
赤葦「えっ、Aさん!?」
気づいたときには、Aは屋上への階段の所に座っていた。
赤葦を置いて、教室を飛び出してきてしまったようだ。
さっきのは、赤葦から言われたかった言葉では?
そりゃそう。好きな人にあんなこと言われて、傷つく人間などいない。
彼女だって嬉しかったはずなのに。
また、逃げてしまった。
ぽろぽろと、涙が頬を伝う。
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黄々(プロフ) - 赤葦様信仰さん» えぇー!ありがとうございます!!ぜひ!完結までよろしくお願い致します!!!! (2019年8月14日 12時) (レス) id: ce367edb84 (このIDを非表示/違反報告)
赤葦様信仰 - めっちゃいいです!完結まで、お付き合いさせてください! (2019年8月12日 21時) (レス) id: e01aa47e88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄々 | 作成日時:2019年6月5日 21時