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『あだち、さん、……っ、なに、』

ロッカールームに着いて、自分のロッカーの近くに座らせた。上着を羽織らせてやって、ビニール袋あったっけ、とカバンの中を探る。

「んー?それ過呼吸ってやつよ、しんどいっしょ?」

『はぁっ、はぁっ、…かこ、きゅう、?』

「過呼吸なったの初めて?ただ息上がってるだけかと思ったわけ?…お、袋見っけ。」

綺麗に折り畳んでカバンのポケットに入れていたビニール袋を開いて、彼女の口に当ててやった。

「力抜いて。楽にして。俺に寄り掛かっていいから。」

『ん、ぅ、はぁっ、はぁっ…!』

「うんうん、しんどいな。すぐ収まると思うから大丈夫よ。」

『ぁ、だち、さん、』

「ん、どした?」

ぎゅっ、と彼女が服の裾を掴んできた。

『くるし、っ…です、』

「苦しいな、大丈夫大丈夫。鼻で吸って、口で吐いて…、ゆっくりな。」

一緒に横で深呼吸しながら背中をさすってやる。
静かな空間に、大げさに呼吸する音だけが響いた。

「……落ち着いてきた?」

『…はい、すいません、…っ、ごめいわくを、…うぅ』

「あーもう、もっかい深呼吸。迷惑とかないから。普通に仕事してたじゃん。誰にも迷惑かけてないよ。」

ストレスによるものか、それともただ息が上がったのがコントロールできなくなったのか、その両方か。
初めて過呼吸になったのだったら、息が上がった延長線上でこうなったのは考えにくいか、なんて思いながらまた背中をさすった。

「ちょっと最近頑張り過ぎなんじゃない?」

『……う、そうです、かね、』

「さあ?俺はAの仕事を全部把握してるわけじゃないけどね。…でも実際しんどくなっちゃったんだから、どっかで休憩しないとだめなんじゃない?」

『休憩、ですか…。』

してるつもりなんですけどね、と言いながら彼女は目を閉じた。眠いのかもしれない。

「……ひとまず、今はちょっと寝たら?しんどいでしょ。」

『…そうします。…からだが、だるくて……。』

「過呼吸の後だるくなるんだよね。…ほら、横になりな。」

膝枕してやって、ゆっくりと数回頭を撫でると、彼女は穏やかな寝息をたてはじめた。

「過呼吸気付かないとか、あるか…?」

すやすやと眠る彼女の頬に触れながら、これからもっと目が離せなくなるな、と勝手に心配になるのだった。

かれしゃつ ver.37 @req→←強制終了 #3 @req



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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます!更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました!癒されました!また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かがみみお | 作成日時:2023年12月12日 11時

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