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守備固め #53 @req ページ24

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「Aさんって、お酒強いんですか?」

『うーん、まあ普通かなぁ。』

って、言ってたのに。

「Aさん、起きてください。もう帰りますよ。」

『…ん、ねむ、い、』

いつものように寝ているのか、それとも潰れてしまったのか分からない彼女は、机に突っ伏したまま動かなくなってしまった。

『ぎぼちゃん、えへ、しょうくん、えへへ、』

しょうくん、と言いながら顔を上げたかと思ったら、またゴンッと鈍い音を立てて伏せてしまう彼女。

「宜保ちゃんでも翔くんでも何でも良いですから、帰りましょ。置いて行かれますよ。」

『…ん、はぁい。』

彼女はよいしょ、と机に手をついて上体を起こし、壁を伝って歩いて行く。
かなりふらふらしているところを見るに、やっぱり眠いだけではなさそうだ。

「酔っちゃいました?気分悪くないです?」

『うん、楽しい感じ。あは、』

ほんのり赤い顔の彼女は、開いているかどうか分からないくらい目を細めて笑っている。
壁伝いに出口まで歩いて何とか外に出たは良いものの、支えになるものが無くなったせいで彼女の手は宙を彷徨った。

『わ、こける、』

「危なっ!」

ぐらりと傾いた体を支えて、自分の肩に手を置かせた。
柱代わりになれるかは分からないが、こけられるよりはマシだろう。

『しょうくん、がっしりしてるね、良いサイズ感…。』

「…バカにされてる?」

してないよ、と言って笑いながら、彼女はどんどん体重をかけてくる。
立ち止まっているのにぐらぐらと揺れているし、大丈夫か?本当に。

「…もうちょいちゃんと捕まって良いですよ。」

今なら何をしても気付かなさそうな彼女の手を取って、ぴったりと密着するように腕を組んだ。
触れる面積が大きくなったことで安定したのか、ようやく揺れなくなった彼女は、そのままこてんと頭を預けてきた。

まずい、完璧に付き合ってる人の距離感。
でもしょうがないよな。そう、これは介抱だ。
近くで後輩がニヤけているのも見えるけど、気にしない気にしない。

『…お酒、飲めるはずなんだけど、』

「え?」

『しょうくんが強そうだったから、ちょっと甘えても良いのかなと、思ってしまいまして、』

へらり、と彼女は笑った。
仕事中には見たことのないその笑顔に、胸がどきんと高鳴る。

「…まぁ、いいっすよ。俺でいいなら。」

『やったね、』

ぎゅ、と腕に力がこもる。
他にも人がいるのに自分が頼られていることを、素直に嬉しく思った。

以降、2024表記になります→←共犯者 #24 @req



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かがみみお(プロフ) - うみさん» こちらこそ素敵なリクエストとご感想ありがとうございます!更新がんばります🤗 (12月12日 23時) (レス) id: 937947437c (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 早速リクエストに答えていただきありがとうございました!癒されました!また更新されるの楽しみに待ってます(^^) (12月12日 22時) (レス) id: b1b3506f25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かがみみお | 作成日時:2023年12月12日 11時

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