少女とポートマフィア23 ページ33
「生き返った...?どういう事だ?」
この男にしては珍しく、戸惑いが混ざった
声を響かせた。
それもそうだろう、タヒ者が生き返ったと
云われれば誰しも困惑する。
非現実的なその事実をえらく冷静に
受け止められているのは、二人の輪から
外れ話の先を見守る少女くらいである。
__後は、既に思考を深く巡らせている
太宰くらいだろうか。
「...あの抗争で、確かに彼奴はタヒんだ。
それは私も実際に見ていたから確証を
持って云える。
だけど、今日抗争があった地域周辺の
至る所で彼奴の目撃情報があがっている。
姿形も格好も顔も、抗争の時と瓜二つの
様子が目撃されている。
生き返った要因として考えられるのは
異能力だが、それにしては気掛かりな事が多々あってね」
「...嗚呼、そうだな。
仮に異能力で生き返ったとしても、
彼奴の異能力は魂に関連するようなものではなかっただろう」
「嗚呼。
だからこその明日だ。
つついてみて何が出るかによって
今後の動きが変わってくるだろう」
私を置いてけぼりに進む話し合いに
静かに耳を傾けながら、脳内で状況を
整理していく。
実際にその生き返ったとされる敵の頭と
対峙してみて、またはその周辺に探りを
入れてみて真実を確かめるという事か。
...いわば、其奴は囮だ。
「成程な。
となると、作戦はどうなるんだ?」
「それは____」
__
「手前ポートマフィアか?!
あれだけ俺等を破壊しておいてまだ
足りないのかよ!!!!??」
「巫山戯んじゃねえ!!!!!」
まさか初任務にして本当に囮にされるとは
思っていなかった。
...しかも一人で。
私が残党処理をしている間の敵の動きを
太宰等が観察し動向を掴む作戦らしい。
『全部駆らねばまた新たな抗争が生まれ
繰り返されるだけだろう。
その為の処理だ』
「処理だと!!!!??
人を何だと思っていやがる!!!!!」
残党は思っていたよりも多く、
誰もが逆上し興奮し切っているので
周囲の把握がしづらい。
『どうとも思っていない。
要らなくなったら捨てられるのが
世の理というものだろう。
ただ、それだけの話だ』
益々逆上する残党を横目に、何処からか
判らないが、確かに感じる強い視線に
神経を研ぎ澄まさせていた。
...その視線の主もまた、研ぎ澄まされた
刃のような鋭さと粘りつくような殺気を
纏わせて時が来るのを待っていた。
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作者名:al作者 | 作成日時:2018年12月15日 15時