少女とポートマフィア21 ページ30
そう云って男は武器庫から小型の銃を
持ち出して来た。
「本来なら近距離、中距離、長距離と
銃撃に関する全指導をするべき何だが、
生憎明日までという期限付きだからな...
明日は近距離での銃撃がメインになる。
だから今日は近距離の事を教える」
『はい』
「まずは銃器だが、近距離ではこの
小型の銃器を使う。
戦距離と銃器の大きさは比例していると
覚えておいてくれ」
短距離で大きな__ライフルだったか、
そんな物を背負って戦えたらその人は
ゴリラか何かだろうな、などと
どうでもいい事を考えていると、
男は、そういえば、と言葉が続けた。
「自己紹介がまだだったな。
いつまでも少年呼びというのはよくは
ないだろう。
俺は織田作之助。下級構成員だ。
名前は好きなように呼んでくれ」
『では織田さんで。私はAです』
「Aか、判った」
少年、を訂正しないのは態とである。
この男、織田さんはどうにもマフィアの
それを感じない面がある。
女だと云って、万が一にも手加減等されては
たまったものではない。
_____私は強くなりたいんだ。
____
_
慣れない銃器ではあったが、
太宰の部下に喧嘩売られた時に
銃のおおよその扱い方は見て学んで
いたので、すんなりと扱いを覚えられた。
あの訓練と題した八つ当たりも、
意外に役立つものだった。
織田さんの訓練は、他の方と違って
子供を相手にしているような、
まあ事実しているのだが、
そんな丁寧さと判りやすさがあった。
実際に子供を相手に指導する場面が
いくつかあったのだろう、
的確に私の運動能力や癖を把握して
端的な指導をされていた。
そして織田さん自身、素人目に見ても
非常に優秀な狙撃手だと判る程に、
正確で明らかに場数を踏んだ動きだった。
マフィアの人間である事を実感したと
同時に下級構成員でいるのは何故なのかと
疑問も沸いた。
ともかく、そんな指導のおかげで
格段に銃が扱えるようになったのである。
初めて得た"銃撃"という強さに気分が
あがって浮わついていたその時だった。
『!』
殺 気も音もなく、弾が私の頬をかすった。
何とか反射で避けれたから良かったが、
避けれなければ頭に穴が空いていただろう。
銃声が鳴らない細工など判らないが、
態々そんな事をしてまで嫌がらせに
徹する人を私は一人しか知らない。
『ナイフの次は銃ですか、太宰幹部』
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作者名:al作者 | 作成日時:2018年12月15日 15時