幸せが欲しい少女は【文スト】 (ページ24)

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少女とポートマフィア１５ページ24

小さな体には少々大きい荷物(衣服)を
運んでいると、ふいに背後に気配を感じた。

面倒事になるのを察して
気付かぬフリをしスタスタ歩く。

.....だが、一向に気配は消えない。

＿＿＿＿＿＿＿仕方ないか。

『何か用ですか？』

振り返らずに問いかける。
すると、驚いたような声色が返ってきた。

「.....へえ、流石太宰幹部が拾ってきただけあるね。
結構気配消してたつもり何だけどなー、俺」

本気で云っているなら相当な弱者だ。
まあ、八割方本気、と云ったところか。
どちらにせよ弱者だ。

『左様ですか。して用は？』

「つれないねえ.....

俺は君の先輩だよ？
太宰幹部の直属の部活であり、
下級構成員を束ねる指揮官でもある。

さらに云えば、」

男の話が長々と続いたが半分聞き流した。

要は下級構成員ではないが
上級構成員にはなれない半端者、
ということだろう。

自分の弱さについて何故そんなに
自慢気に話せるのか、判らないが。

まあ、太宰の部下という点においては
同情の念を抱かざるを得ない。

それに免じて形だけは頷いておいた。

「＿＿＿＿ま、俺の話はさておき。

君さ、あの"最年少"幹部に拾われたんだよね？
だったら相当強いんだろうなあー？
一寸、お兄さんと手合わせしようよ」

やけに最年少を強調するな、この男...

........嗚呼、そういうことか。

『.....手合わせではなく訓練、ならば』

＿＿＿＿

＿＿

昨日中原さんと訓練した地下の戦闘場で
男の要望通り手合わせ(訓練)に来た。

「ねえ、君って芥川龍之介って知ってる？」

『はい』

「知ってたんだ。

彼奴さ、あの太宰幹部より幼いじゃん？
それに加えて独走癖が強くてねえ～？
敵と見なせばバッサバッサと切りつける、
殺戮に特化した異能。

頭悪いよね、それしか出来ないなんて。
狗、って云う言葉がお似合いじゃないか」

楽しそうに、嘲り嗤う男。
だがその節々に恨み辛みが見え隠れしている。

手合わせの申し出の時点で大方察しは
ついていたが、矢張コイツは＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「大体、あの若さで幹部になった事自体
俺未だに納得してなくてさ～。
云ってみたんだよ、太宰幹部に。
勿論遠回しにだけど。
そしたら何て云ったと思う？

"それが判らないから君は昇格出来ないのだろうね"

最年少幹部様は云う事が違うよねー！

だってこんなに優秀な俺を
雑魚呼ばわりするんだから!!!!!」

男の殺気と共に銃声が響いた。