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少女とポートマフィア6 ページ11

中原side



太宰の連れてきた新入りを
指導し終わった後、
首領に再び報告に行き、
彼奴の部屋や最低限の生活環境を用意した。

そして漸く、本部から出て家路についた。


予想以上に時間を掛けてしまい、
もうすっかり日は落ちて、
何ならお日様が見えて来そうな
時間である。



「流石、面倒見の良い中也君(笑)だ。

一人の部下にそこまでしてくれるなんてね?」



__この世で、最も俺に不快感を与える声がした。



「あ"?誰が中也君(笑)だ?!
大体手前、何処行ってやがった?

元はと云えば太宰、
お前の拾って来た部下だろうが」


「だって私、面倒な仕事は嫌いだもの」


「理由になってねえよ!!!」



こいつと居ると血管が切れる音がする。
いつか出血 死しそうな程に。



「で、彼女と接してみた感想は?」


「.....単純な体術は中の下ってとこだが、
戦闘能力は格別だった。

相手の隙を突く、体格差を利用する、
状況の把握、咄嗟の判断力。
__戦いのセンスと才能は其処らの構成員と
比べ物にならねえ。


だがそれよりも大きいのは」


「戦闘の経験、か」


「嗚呼、それも自分より強い奴との、な」



___そう、俺が彼奴に体術を仕込む時に
一番感じた違和感は其所だった。


「戦闘に対しての慣れ」。


勿論、貧民街で育ったのであれば
そういった荒事は日常茶飯事だろう。

だが、貧民街においての戦闘とは、
生きる為、自らの為を守る為の強さである。

食べ物を奪う為、衣服を奪う為、
寝床を確保する為.....。

弱肉強食の世界において生き残る為のもの。


逆に云えば単純な戦いの強さは需要が
無いのである。

生き抜く力さえあれば良いのだから。



だが、彼奴は違った。
むしろ、単純な強さの方を欲しているようだった。
何より、彼奴の眼には希望があった。


明日の生死が判らない世界で生きてい乍、
確かな希望を、強く、強く抱いている。

それはもう、呪いにすら近い領域で。


だからだろうか。



「彼奴は、頭が回る。
それこそ、手前みたいにな。」



頭が回る。
つまり、色んな事に気付いてしまう。


_____知り過ぎて、しまう。



「俺が云える事は、10歳そこらの餓鬼が
色々背負い過ぎてるって事だけだ」



そう云い残して家に向かった。









「頭の良さと云うのは時に
自分と周囲との溝を深めるものだ。

溝の先が闇か光であるかによって、
求めるものを掴むのは困難を極める。


____君は、どう転ぶのだろうね?」

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作者名:al作者 | 作成日時:2018年12月15日 15時

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