【歌い手】俺たち、君の運命の相手です。【浦島坂田船】

#紫の話 ページ38

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雅也side



現在、12月31日の午後11時。

Aちゃんの家基い松崎家の玄関先で待機中。


隣には、うらたさん、さかたん、センラくんの３人


俺含め４人は、今日もスマホを片手にAちゃんを見守って(監視して)いる。


『ちょ、ちょっと待って、マフラー絡まった…』


まぁ、ドア一枚越しですぐそばにいるんやけれど


４人のスマホの画面には、AちゃんのTwitterのプロフィール画面


今日も今日とてドジで可愛いAちゃんと、今年の最後と来年の最初を一緒に過ごすことになった。


やけど


俺たちの空気は、心なしかいつもより重い。


まぁ、その思い原因は４人共通で


「……来年もこの距離のままやったらどないしよ…」



赤い髪の…さかたんの一言が俺たちの空気をより一層沈めた。


「それ言うなよさかた…気にしてんだから…」


Aちゃん閉じ込め事件の翌日から何やら様子がおかしいうらたさんがさかたんの頭を軽く叩いた。

…小さなうらたさんが、俺よりも大きなさかたんを…。

なんて微笑してる余裕なくて、本当に沈みがひどい


普段しっかりしててツッコミ役であるセンラくんまでお顔真っ青で無言。



Aちゃんにより近づけた年の最後に、こんなにも沈むことになろうとは考えてもいなかった。


もはや「来年こそは」という謎の自信すら湧いてこない。

こんな大晦日、今までにあっただろうか


「……と、とりあえずそれなりのアプローチを…」

『っはいお待たせ〜！寒い中待たせてごめんなさいっ』


「アプローチをしよう」という上に被せるかのようにAちゃんがドアを開けて出てきた。


「うわっさむ」とぐるぐるに巻いたマフラーに顔を埋め、手をポケットに突っ込むAちゃん

そんな姿すら愛おしい、なんて言ったらどんな顔をするのやら


そらるさんが出てきて、鍵を閉め、歩き始めて数歩



『…あ、ホワイト大晦日だよ』


チラチラと雪が降り始めた。


ホワイトクリスマス、みたいに言ってはしゃぐAちゃんは、ポケットからスマホを取り出すなり青い鳥を開いた



『雪降ってるよ〜っと！』



ツイートした、とAちゃんが指で画面をタップすると同時に

俺らは颯爽とスマホを取り出し、AちゃんのTwitterへと飛ぶ



こんな、見守るだけの関係に飽き飽きしながら。





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