【歌.い.手】男装歌い手はじめました【そらる】

#06 平和？ ページ6

ということがありまして。

しかも、しかもだよ


席！！が！！

隣が彼方さんで後ろが天使真冬さん。


無駄に話しかけてくる2人を適当にあしらうあたし。


まぁ当然、みんなよく思わないよね


ということで机バンされてます。


理不尽な、仲良くないわ！！！

見てて分からんか、適当に流してるだろ！！


『…偶然昨日ケーキ屋さんで見かけたな〜ぐらいだよ』


と軽くいう。

…普段はこんなこと許されないけどね。

素のあたしの普段の扱いは、いわば“ポチ”

購買で買ってこいだのノート写させろだの提出物まとめて出してこいだの

まるで人間以下の扱いならば、当然タメ口なんてあり得ない。


でもこれはいじめじゃない。
…多分。


でも今は真冬さんや彼方さんが側にいることによって扱いはまだマシ。
その状況を逆手にとって少し調子に乗ったわけだ。


予鈴のチャイムが鳴り、移動教室の支度をし始める周りの人たち

「あ、次移動教室なんだ！一緒に行きましょ？」


空気を読めないのか、あえて読んでいないのか。
天使があたしの顔を覗き込み、上目遣い。
この子、自分が可愛いこと自覚してるな…！

「ほら、彼方さんも行きましょ」

そう言ってあたしの後ろの席で机に突っ伏してる彼方さんを揺さぶる天使。

すること全てが可愛いなぁ癒される…

それに対してこの寝癖の塊は…

「Aさんいい匂いするね」

起き上がるなりいきなりうなじに顔を近づけ、すぅっと匂いを嗅がれた。

いい匂いも何も冷や汗しかかいてないんだけどな、言葉のセクハラ。


無表情の無言で固まっていると、真冬さんが彼方さんをチョップする音が聞こえた。


立ち上がる真冬さんについていこうとした愛生ちゃんは、チラッとあたしの方を見て睨んだ。

こりゃあ明日男装する手他ないなぁ…


いつの間にか目の前にいた彼方さんは睨まれてもなお硬直状態のあたしの顔の前で手をひらひらさせた

「…ねぇ、行かないの？」


『…行きます』


なんで敬語なの、と聞かれたがスルーしとこう。


あぁさようならあたしの平和な高校生活…


…ポチ状態で平和とは言えないかな

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