【歌.い.手】男装歌い手はじめました【そらる】 (ページ12)

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#12 悪巧みページ12

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「で、どうするの」

『なんのことですか』

急に問われたことに対し疑問に思うと、彼方さんは馬鹿なのかとでも言わん顔をしている。

『もう一発殴りましょうか』

「大丈夫です」

サァッと青ざめた彼方さん。
立場的に今あたしの方が上なんじゃね←

「男装。戻らないの？」

『戻りませんよ』

即答してやった

『確かに、兄でいることは辛いけど

人間扱いされない方がもっと辛い』

軽く笑って見せるけど、実はこれすごい傷ついてます。

ポチって…せめて猿が良かったな←

「…じゃあさ、いいこと思いついた」

考える素振りをした彼方さんは、悪戯っぽい悪い笑みを浮かべて、あたしのウィッグをとった

『ちょ、なにするんですか』

「みんなに、Aさんが小林くんであることをバラしちゃえば」

…ん？？？

『もう一回お願いします』

「だぁから、男装してることをバラすの」

そうすれば小林くんをチヤホヤしてた女子は恥ずかしい目に遭うじゃん、とどす黒い笑み。

おいおいさっきまでの好青年どうした。

『でもそしたら「もし私たちの小林くんを返してよとかなったら俺が助ける」…ありがとうございます』

助ける、か

助けてもらってばっかりなこの人生、ちゃんと恩を返せてないから

『…ちゃんと、恩は返しますよ』

どす黒い笑みを浮かべる彼方さんの手を取り、その悪巧みにのってやることにした。

「俺を信じて」

そういう彼方さんのまっすぐな瞳に

吸い込まれそうになったのは内緒。

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「ところでなんで敬語なの」

『あの偉大なそらるさんにタメなんてありえないじゃないですか』

「次敬語で喋ったらそらるさん泣いちゃう」

『勝手に泣いてください』

「ひどい」

『…ま、一応同級生ですし、外しますよ』

「じゃあ俺のこと彼方って呼んでよ」

『それは流石に厚かましくて嫌よ』

「そらるさんは？」

『それでいいなら』

「じゃあそらるさんね」

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