白53 ページ5
「こんな状況は、見た事がないのよね」
『ナワーブとは話をしていただけなの…そしたら、こんな…！』
「Aが何かしたとは思ってないわ。とりあえず、落ち着いて。それから…目が覚めるまでここにいてあげてくれる？彼、貴女がいた方がきっと元気になるから」
『もちろん…ここにいます』
「頼んだわよ、何かあったらまた呼んでね？」
『うん…』
エミリーは出ていって、部屋に静寂が訪れる。首に巻かれた包帯が痛々しくて…これ以上彼に苦しんで欲しくないって思った。
『ナワーブ、どうしちゃったの？』
もちろん返事はない。
私は…ただ待つことしか出来ない。
もしかして、ナワーブの過去に触れてはいけないものが潜んでいたのだろうか。
でも、そんな話…こんな事が起こる可能性があるなんて一度だって耳にしたことはない。
だが、救いを授ける任務を請負うのは初めてで…こういう事もあったりするのだろうか？
本当にそうだったとしたら、場所が喉だった事に辻褄があう。
��話すこと��によって起きた現象？
誰も答えをくれはしない。
仕事が終わるまでは、天界に帰ることも出来ないのだ。
『貴方を救いたいだけなのに』
呟きは誰にも届かず空気に溶けていった。
どれくらいたっただろう？
時折、呻くような声を漏らす彼の手を励ますようにギュッと握る。
もっと、階級が上であれば…治癒能力だってあるのに。
私は下級、特になんの力もないのだ。
『どうしたら、起きてくれるの？』
エミリーが出ていって、きっとそんなには経っていないはずだが…凄く長い時間に感じている。
『ねぇ、話そうとしてた事…見せてもらってもいいかな？』
彼の横で何もしないでいるのは辛かった。視界に捉えるのは、エミリーが彼を寝かせる時に腰から外した…グルカナイフ。ベッドのサイドテーブルに置かれている。
それから端の机には長年愛用しているのだろう、使い古された肘当てもある。
グルカの兵士だったと言っていた、だからどちらか…もしくは両方で過去を覗くことは出来るだろう。
『ナワーブ、勝手に触ることを許してね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朱璃(プロフ) - RENKAさん» 忙しかったのですか？無理はしないようにして下さいね！いつも来て頂いて本当にありがとうございます♡話共々ナワーブ君の推しに刺されないか心配です（汗） (2021年11月30日 8時) (
レス) id: d7c7228678 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 久しぶりです！最近見れない日々が続いていつの間にか完結していた…。これもとっても面白かったです♪これまた絵も上手すぎる！ (2021年11月29日 10時) (レス) @page23 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 朱璃さん» はい！ありがとうございます♡！これから大変なこと色々あると思いますがお互い頑張りましょうね！ (2021年11月16日 11時) (レス) @page2 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
朱璃(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます♪暖房入れてますし、大丈夫ですよ(*^^*)RENKAさんも風邪にはお気をつけ下さいね♡ (2021年11月16日 9時) (レス) id: d7c7228678 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - 続編おめでとうございます！最近寒くなってきたし尚且つ出産後なので体調に気をつけて下さいね！あ、無理も禁物ですよ！←(馴れ馴れしくｽﾐﾏｾﾝ…) (2021年11月15日 23時) (レス) @page1 id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朱璃 | 作成日時：2021年11月15日 15時
