1: hate at first sight ページ2
やばい。
強気で家を出たのに、今更緊張してきた。
東京からアメリカに引っ越して六年。
親の仕事の都合で日本に帰ってきたんだけど、高2とかタイミングが悪すぎる。せめて高1が良かった。
しかも兵庫。
関西弁話せない上に標準語もおかしかったら恥ずかしい。
まあ、何とかなるでしょ。
今日はとにかく良い第一印象を残せるように頑張ろう。
「わっ、ごめんなさい！」
廊下でそんなことを考えていたら、目の前に歩いていた男子にぶつかってしまった。
うわ。背、高っ。
振り向いた彼は、思いっきり睨みついてきた。
「は？自分どこに目ぇつけとんの？」
初対面の女にメンチ切るとかガラ悪すぎ。
何こいつ。
「ぶつかったのは悪いと思ってるけど、わざとじゃないのにそれはちょっと言い過ぎなんじゃない？」
そう言い返すと、周りがざわつき始めた。
「俺のファンの中にわざとぶつかってきたりする女もようおるんやけど、自分もそないならお断りしたるわ」
「ファン？何言ってんの」
「うちの高校行ってるんなら俺ん事知っとるやろ。ちなみに侑の方やで」
「全っ然知らないけど」
キッパリ言い切ると、『侑』と周りで見ていた人が心底驚いた表情を見せた。
「俺、おまえ嫌いやわ」
「いや私もあんたのこと嫌いだから」
一目惚れのことをlove at first sightというなら、こいつとの出会いはhate at first sightだ。
2: japanese lunch time rush→←prologue
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ありさ | 作成日時：2020年6月16日 17時
