ホントに ページ6
話し終わると、あいつは保健室から出て行こうとした。
『おい、待て。』
彩「何?」
『あんた、ホントに何で俺みてぇな奴に構うんだ。俺と喋ってると、あんたまで変な奴だって思われるんだぞ。』
彩「どう思われたっていい。私が喋りたくて喋ってるから。」
本当に調子狂う。
俺はずっと孤独だと思っていた。
でも、もうひとりじゃない。
立花彩、あいつがいる。
『もう、ひとりにしないでくれよ。頼むから。』
視界がぼやける。
すぐに分かった。
俺は、泣いてるんだ。
彩「ひとりになんてしない。私がいる。」
あいつは俺を抱きしめてきた。
初めてこんなことされた。
『すまねぇ、俺、こんなヤワじゃねぇはずなんだが。』
彩「誰にだって、泣きたい時くらいあるよ。私だって、こういうことあったもん。」
そして俺も抱きしめる。
『もう少し、このままでいてくれ。』
_________________________________________________________________________________
『さっきはすまなかった。』
あいつは首を横に振る。
彩「大丈夫。何でもひとりで抱え込まないで。」
『んなこと言われても、言えることなんか限られてんだ。あんたも、俺あんま近づくな。』
あいつは頷く。
彩「気をつけるよ。」
俺は幸せになんてなれない。
その分、他の奴が幸せになればいい。
だから、俺が犠牲になって義父を止めないと。
俺は、その為に生まれて死ぬ。
そういう運命だ。
決めた。
俺は俺のままでいる。
どうせ死ぬんだから。
義父に殺されて。
いい人ぶってるより、義父の秘密をバラして死んだ方がマシだ。
だから髪を切ってネクタイを締めて、ワイシャツの襟を少し開く。
そうすればタトゥーなんてすぐにバレる。
いっそのこと、髪なんて縛ってしまおう。
俺は手に着けているヘアゴムで髪をくくる。
このヘアゴムは、前髪が長くて勉強の邪魔になるから買ったものだ。
今はセンターで分けているけど。
そして保健室を出る。
この瞬間、何かから解放された感じがした。
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K - 草生えるさん» 更新したんですね!面白かったです! (2019年9月24日 20時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
草生える - Kさん» どうもありがとうございます!本当に感謝です! (2019年9月24日 1時) (レス) id: 133f02566f (このIDを非表示/違反報告)
K - 草生えるさん» めっちゃ小説面白いので文才ないなんて有り得ません! (2019年9月23日 20時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
草生える - 文才なんてものないですよ。 (2019年9月23日 12時) (レス) id: 133f02566f (このIDを非表示/違反報告)
K - 草生えるさん» やっぱりめっちゃ面白いです!文才分けてください.......(´;ω;`) (2019年9月23日 10時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:草生える x他2人 | 作成日時:2019年8月24日 22時