俺はあんたに恋した哀れな人間【探偵チームKZ事件ノート】

初めて ページ35

佐「瀬戸、私さ、超緊張した。いきなりキスしてくるから。」


その話か。


それ、人生最大の黒歴史になりそうだな。


『そうか。まあ、あれで俺の気持ち分かっただろ。』


佐田は赤くなる。


佐「ん、正直嬉しかった。」


ツンツンしてると思ってたけど、意外と可愛いのな。


佐「キスなんて初めてだったから。」


え、嘘だろ。


『悪いな、ファースト奪って。』


佐「全然、むしろ本望だ。」


ならよかったけど。


俺らは今、移動教室の帰りだ。


松葉杖だから、どうしても荷物を持てない。


だから佐田に頼んだ。


佐「なあ、名前で呼んでいいか？」


『別にいいけど。』


佐田はニコッと笑顔を見せる。


佐「ありがとな、A。私のことは、Aが考えたあだ名で呼んでくれ。」


ん、あだ名か。


真理子だから…


マリ、リコ、マコ、マリー、マリン…


ああ、そういえばマリンって俺の母さんの名前だ。


『マリン、でどうだ？』


佐「お、いいじゃん！」


俺は何となく言ってみる。


『マリン、好きだ。』


すると佐田はまた赤くなる。


佐「私もだ。」


なんだろうな、こうしていれば付き合う奴なんて誰でもいい気がしてきた。


俺は人と壁を作りたいタイプの奴なんだと思う。


でも、隣に誰か1人置いておきたいんだろうな。


俺は今まで付き合った奴とは1回も恋人らしいことなんかしてない。


いや、キスとかはしたか。


でも普通にフラれた。


態度か執着心の無さだったのかな。


今まで10人くらいと付き合って10人にフラれてるぞ。


小5で4人、小6で6人。


意外に多いな。


まあ、次は失敗しないように慎重にいくとしよう。

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