俺はあんたに恋した哀れな人間【探偵チームKZ事件ノート】

あいつに ページ2

俺が、あいつに恋というものをしたのは、いつだったんだろう。


多分、4月のあの日だ。


入学して、1週間が経った時。


俺はあいつに言われたことが心に、今でも残ってる。


あいつは、俺に言ったんだ。


彩「あのさ、その口調、やめた方がいいよ。」


最初はお節介な奴だと思った。


でも、そんなことを言われているうちに、何でか、俺はあいつに惹かれていった。


あいつに惹かれた俺は、哀れだと思う。


あいつには、俺は必要ない。


だって、あいつはもう、いろんな奴に守られている。


その守護に俺が入っても、何も変わらない。


あいつは、強い。


誰かの守りなんていらないくらい。


俺は臆病だ。


里親に見捨てられたくないと思って、勉強もスポーツも、全部頑張ってきた。


だってあの義父は、ヤクザだ。


見捨てられたら殺される。


それが俺を臆病にしている。


逆らったら、殺される。


それを昔から言われてきた。


義父に引き取られた時、逃げても分かるように、しっかり首にタトゥーを入れられた。


見たらすぐに分かる、蛇のタトゥーだ。


タトゥーは制服の襟で隠れているから、誰にも見られていない。


まあ、髪でも隠れているけど。


でも、義父は恋人が死んでからおかしくなったんだけど。


義父は結構モテる。


俺と二人で並んでいると、声をかけられることもある。


ああ、顔がいいってこと。


ただ、声をかけられても、暴言を吐いて何処かに行ってしまう。


自分のことを探られたくないんだろう。


怪しいと思われたら警察に通報される。


そう思っているんだ。


まあ、俺を引き取った理由は跡取りなんだと。


ヤクザを継ぐらしい。


義父が死んでも継ぐ気は無いけど。


そんな俺が、あいつの側にいる資格なんて無いんだ。

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