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「…そう、ですか」
まだ会ってもいない彼女に少しの申し訳なさを覚えていると、
「ただ彼女の傷、3か月前から新しいものができてなくて、それって久住が彼女の乗ってた船を借り始めた時期と一致するの」
桔梗さんが病院からの検査結果を見ながら言った。
「…ということは、久住がこの女性を助けたと?」
「私達はそう踏んでる。で、あなたに白羽の矢が立ったってわけ」
「…は?」
久住が人助けなんて事実を受け入れられていないのに、桔梗さんはどんどんボールを投げてくる。
「九重、お前マメジに新制度改革の提案した時、情報提供者の保護制度について話しただろ」
陣馬さんのその言葉に、
《情報提供者の保護制度について…。ほぉ〜、なるほど》
あの時のマメジの顔が頭をよぎった。
「彼女のことを話したらマメジがあなたにぜひって」
「…うまいこと利用されたってわけですか」
コーヒーを飲む桔梗さんの前で大きなため息をつくと、
「まぁまぁまぁ、ナナちゃんのこと、頼むよぉ」
伊吹さんが媚びを売るように肩もみをしてきた。
ん?
「…ナナちゃん?名前分かってるじゃないですか」
身元不明って言ってたのに、なんて思いながら伊吹さんの方を向く。
「ナナちゃんてのは臨時だ。彼女の乗ってた船はG7に停まってたからな」
「…ああ。それでナナ…」
相棒の代わりに答える志摩さんに納得する俺。
「九重くん、あなたに頼みたいことは2つ。1つは久住やその残党から彼女を保護すること。もう1つは久住との関係を聞き出すこと」
桔梗さんは俺の方をまっすぐ見てそう言った。
「…保護って、羽野麦さんのようにですか」
「何も一緒に住めって言ってんじゃないの。彼女の生活費はマメジに申請してあるから、家賃とかその他諸々はそこから自由に使って」
「…は、はぁ」
「ナナちゃんは今、久住に最も近い人間よ?手柄を挙げたらまた現場に戻ってこられるんじゃない?」
その桔梗さんの言葉に俺はまんまと引っかかってしまったようだ。
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リトルバード(プロフ) - さえきsaekiさん» 返信遅くなりました…泣 ドラマが終わってからこちらのサイトにはログインしておらず気づくのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。そしてすてきなコメント本当にありがとうございます!ドラマ終わってしまいましたが読んでもらえて嬉しいです!ごゆっくり〜 (2021年12月16日 23時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
さえきsaeki(プロフ) - この作品残っててよかったです!しばらく404作品読んでなくて検索したりしたらずいぶん消えてしまっていて…きっと作者さんがログインされてないんですかね…でもここは残ってて何度読んでも感動できる作品がまた読めて幸せです…!ありがとうございます!! (2021年9月13日 20時) (レス) id: c60363b2be (このIDを非表示/違反報告)
リトルバード(プロフ) - mmkさん» mmkさん!初コメ嬉しいです…。書きながら「あ、これは読者様にはもしやはまっていない?」と思っていたので(笑)一人でもおもしろいと言ってくれる方がいて本当にありがたいです!完結までよろしくお願いします! (2020年11月27日 20時) (レス) id: 9ffe47897f (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - 一気に読んでしまいました!更新楽しみにしています! (2020年11月26日 10時) (レス) id: a296828649 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リトルバード | 作成日時:2020年11月12日 22時