memory of red -sho- ページ35
・
父さん、母さん、姉ちゃん、弟、そして俺。
どこにでもいるような、家族だった。
家族全員とても仲が良くて、俺は家族が大好きだった。
一階は父さんの作業場で、二階が俺たちの部屋。
『翔、今日は昼に智くんたちが来るからな、』
『ほんとっ？』
『それに今日はやることが少ないから、作業が終わったらキャッチボールでもしようか』
優しく笑う父さんの顔を、今でも覚えている。
あったかい大きな手も、温かい声も。
発明家の父さんは、とにかく頭がよかった。
父さんが作ったものはどれも凄いものばかりだったけれど、しかし値段が高すぎて世に出回るのが少なかった。
だから決して裕福とは言えない家庭だったけれど、それでも良かった。
俺は父さんを心の底から尊敬していたし、大好きだったから。
・
『これが完成すれば、世界は平和になる』
そういつも言っていた父さんは、最初は一人で作っていたけれど、いつからか人を雇うようになった。
そしてそのとき出会うんだ。
智くんと、雅紀くん、和くん、潤くんに。
俺たちはいつも父さんたちの作業が終わるまで近くの公園で遊んでいた。
おしゃべりしたり、鬼ごっこしたり。
そして日が暮れて母さんが呼びに来るんだ。
･
『にーちゃん！』
そして弟の悟。
悟は凄く俺に懐いていて、いつも一緒にいた。
ただ一度、悟が‘和くん’のゲームを壊してしまって、それからは母さんと一緒に父さんの帰りを待っていたらしいんだけど。
･
本当にどこにでもいるような家族で、
どこにでもあるような幸せで。
けれどそれが、壊された。
・
おつかいを頼まれた俺は、悟を連れて近くの八百屋さんに行った。
余計に駄菓子なんかも買って、お姉ちゃんの分も。なんて言って。
母さんに怒られるよー、なんて笑いあっていたんだ。この時は。
そして俺たちが帰ったころ、
もうそこは俺の知っている家ではなかった。
なんで燃えてるの？
幼い頭を必死で動かして一つだけ分かった事、
(･･･父さんたちは？)
隣で泣き叫ぶ悟にかけてやる言葉すら出なくて、ただ茫然と崩れ落ちる家を見つめていた。
だから気付かなかったんだ。
助けてくれるんだろうと思っていた大人たちが、いつの間にかいなくなっていたことに。
・
気付いたら隣に智くんがいて。
あまりにも泣きそうな顔して俺を抱きしめるから、この状況を忘れて思い切り縋りついた。
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ひまわり(プロフ) - ちー♪さん» ありがとうございます（＾Ｏ＾） 本当ですか？！それは本当に嬉しいです；＿； これからも頑張ります！！ (2015年1月3日 19時) (
レス) id: c2fc12ef7b (このIDを非表示/違反報告)
ちー♪(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後には思わず泣いてしまいました・・・これからも応援しています♪ (2015年1月2日 21時) (レス) id: 5698e14306 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - ひまりさん» ありがとうございます、ダラダラと続いたお話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます；＿； がんばります！！！ (2015年1月2日 20時) (レス) id: c2fc12ef7b (このIDを非表示/違反報告)
ひまり - こんにちは。完結おめでとうございます。とても素敵なお話で、毎回更新楽しみにしてました。新作楽しみに待ってます。これからも応援してます( ´∀｀) (2015年1月2日 13時) (レス) id: 5be1096a86 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 碧李さん» 有難うございます！！！そう言っていただけると、頑張った甲斐があります^_^ 次も宜しくお願いします！本当にありがとうございました（＾Ｏ＾） (2015年1月1日 13時) (レス) id: c2fc12ef7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひまわり
| 作成日時：2014年7月23日 22時
