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彼は私の後頭部を撫でながら優しい声で話し続けた
「…Aちゃんの笑顔を初めて見た時は、らしくないほどドキドキした。女の子の笑顔はみんな可愛いけど、こんなにドキドキさせられたことなんてなかった。…そこで気が付いたよ。俺、Aちゃんのこと好きだったんだ、って」
「…」
「気が付いてからは、何故かいつも通り接することが出来なくなって…体に触れたりすることは他の女の子には出来ねぇけどAちゃんには出来て、でも他の女の子にいつも言ってるようなことはAちゃんには言えなくなった」
いつかの警察学校で、研二が私を助けるために水を被って風邪をひいた時に言われた言葉を私は思い出していた
そっか、あの時は既に…そっか。
「結局何も伝えられないまま卒業しちまって、好きな子に命まで救われて…それでようやくアピールする覚悟できて言ったのに全然意識されてなかったし?」
「ご、ごめ…」
「まぁでも、俺と目が合って目を逸らしてたりしてたから少しはしてくれてたのかな?」
しますとも。そりゃあ。
思い出しただけで顔が熱くなるんだよ。
「…今こうして俺の腕の中に閉じ込められてくれているみたいに、君の心も、俺で独占出来たらいいのに」
「…」
パッ、と彼は私を離して私の顔を見た
「…ありがと、俺の独り言聞いてくれて」
「…うん、」
「忘れないで。俺は何年経ってもずっとAちゃんを好きでいるって」
「…うん」
「だから…いつでもいいから、1日に1回でも、俺の事、思い出して、考えてくれてたら…嬉しいな、なーんて」
それはいつも考えてるよ。
でも、きっと、そういうことじゃないんだよね。
「…研二」
「ん?」
「…ありがとう」
「んーん。俺の方こそ」
彼の表情はいつもより優しい笑顔だった
この笑顔を守れたこと、本当に良かった
原作では見られなかった25歳の彼を目の前にして、私は4年後の明るい未来を脳内で想像していた
死なせないよ。誰も。
「来年も会える、よな」
「来年は11月7日はきっと… だから、その前の日とかにでも会おう」
「そうだな。…楽しみにしてる」
研二はまたね、と手を振って寮に戻っていった
私は運転席に戻り、研二たちの寮の駐車場からようやく車を走らせた
次の11月7日に備えて、私は作戦を立てなくちゃね
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茉優花(プロフ) - 彩豊さん» 沢山コメントありがとうございます!読み返してもらえて凄く嬉しいです…!応援、すごく励みになります!これからも楽しんでいただけるよう頑張りますね! (2022年10月27日 23時) (レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!萩原くんを助けられてよかったです✨組織潜入はドキドキしました(>人<;)凄く面白くて読み返しています(*≧∀≦*)応援してます☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2022年10月14日 11時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!嬉しいです…!そのお言葉がとても励みになっております!!これからもよろしくお願いします!( ¨̮ ) (2022年7月21日 20時) (レス) id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - とっても面白くて何回でも読んじゃいます!今では仕事帰りの楽しみです笑笑 (2022年7月21日 18時) (レス) @page50 id: cf5d2ac92c (このIDを非表示/違反報告)
茉優花(プロフ) - 皇さん» コメントありがとうございます!そんな事を言って頂けてとても嬉しいです…!原作リスペクトの気持ちを込めてなるべく近いように書かせて頂いております!救済してるので所々変わってしまう所はあるかと思いますがこれからも楽しんで頂けたら幸いです!( ¨̮ ) (2022年7月16日 10時) (レス) @page31 id: da009c02b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉優花 | 作成日時:2022年5月30日 4時