貴方と生きる世界線【文スト】【中原中也】 (ページ11)

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中也side

数コールの間が空いて彼奴が電話に出た。

«先刻ぶりの電話だね。どうだい？»

「太宰、聞け。…Aと芥川が消えた」

«！Aちゃんだけでなく芥川くんまで»

「ッ、協力、頼めるか？」

«へぇー？珍しいね中也。私に協力を持ちかけるなんて。…良いよ、やろう»

「助かる」

«やれやれ、無駄に素直な中也には慣れないねえ»

【太宰】だ。あんな奴に頼むなど反吐が出そうだが、一番役に立つのは太宰だ。何もしないよりはマシだろう。
電話を切ってから取り敢えず拠点に戻り、首領の判断を聞いてみる事にした。

・

Aside

「！」

『どうしたの？芥川くん』

「否、太宰さんを見つけただけだ」

『それ、芥川くんにとっては重要なんじゃないの。ふふ』

「触ってもいいか」

『勿論』

あー、可愛い。太宰依存症か！
人をダメに〇るクッションの太宰の面を抱き締めてる。
可愛い。ん？芥川くんが抱き締めてる…芥川くんの匂いがつく！？
落ち着こう。うん。落ち着こう。
取り敢えず忘れることにしてパスタを茹で始める。今日のお昼はカルボナーラです。

・

『出来たよ』

「感謝する」

『いただきます』

「いただきます」

我ながら上出来。美味しい。
芥川くんがカルボナーラを食べてるのなんて珍しくて、というか最早ご飯を食べているのが珍しくてまじまじと見てしまう。

「何か付いているか？」

『あ、ごめん。つい可愛くて』

「反応に困る」

『ごめんごめん』

・

食べ終わったあと、芥川くんが僕がやると云って皿洗いをしてくれた。嬉しすぎた。

『さて…どうしますか』

「…」

『あ、この世界って異能は使えないよね』

「否、僕が来た時には使えたが」

『え？』

「やってみるといい」

そう云われてグラスに向け異能を発動させる。パリン、と音が鳴ってグラスの破片が散らばった。

『本当だ…』

「不思議だな」

どうなってるんだ、この世界は。

・

？？？side

「我が異能実験の成功を祝おう！」

手を上げると同時に部屋の【蝶】が飛び立ち、弧を描いて飛び回っていった。色とりどりの蝶が飛び回る景色は圧巻だ。

「ふふふ、遂にか…！僕の復讐がようやく始まるのだ…！」

すっと手を下げた瞬間、蝶たちは【標本】へと戻っていく。

「たとえ【彼】を殺しても僕の復讐は終わらない。【彼】がこの世界から忘れられる時まで」

蝶がひらりと羽を揺らした。