【stpr】Dark Strawberry Land

＊４０話＊【1人】 ページ41

これなあに？ってお母様に聞いたら、｢ジェットコースターの模型よ」って教えて貰った

×月××日
「お母様が亡くなられました」

リリアンからそう聞いた

信じられなかった

ついこの間一緒にお出掛けしたお母様に、もう会えないんだって

もう名前を呼んでもらえない、抱きしめて貰えない、傍に居て貰えない、愛して貰えない

私は泣いた、お母様の手を握りながらいっぱい泣いた

リリアンも、他のメイドも、皆泣いてたのにお父様は泣いてなかった、ただお母様の顔を見つめていた

リリアンと部屋に戻ってから聞いたの

お母様からの愛はどこで貰えば良いの？って

そしたら「お母様はいつでもお嬢様を愛していらっしゃいます、だからお嬢様もお母様や大切な人に愛を伝えて下さい」ってリリアンが言ったの

×月××日
お庭の滑り台で遊んでて思い出した

お母様との最後のお出掛けで見たあの模型を

急に落っこちるような感覚、なんかスッキリする

もっと高い滑り台が欲しいな…

こんな緩やかな滑り台じゃなくて、落っこちるような滑り台…

この滑り台をくれたのはお父様だけど、リリアンに頼んでみよう

だってお父様は帰ってこなくなっちゃったからね

リリアンまで居なくなったら、私はひとりぼっちだ…

誰か…ずっと私と一緒に居てくれる人が現れないかな…"




読み終わって静かに日記を閉じる




この日記を書いた人に同情の気持ちが湧いた




私も小さな頃に父を失った




両親から貰える愛情が一気に半分に減った気がした




けど違う、お父さんはずっと私を愛してくれてる




そして愛される分だけ、大切な人を愛する




リリアンさんの言葉が私の心にスっと入ってきた




そして、もう一つ思った事がある




私は手紙たちをショルダーバッグに閉まって、ジェルの手を握った




ジェル「…？A…？」




『ジェルは…1人じゃないよ』




ジェル「…！」




寂しさや、誰かと一緒に居たいっていう気持ちは、1人だと思うから感じるの




天涯孤独な人なんてこの世に存在しない




まだ出逢えていないか、もう出逢ってるのに気付いていないだけで…人と人は必ず何処かで繋がってるの




『私がジェルの傍に居る事は出来ないのは…ジェルが1人じゃないからなんだよ？』




ジェル「…俺が？」




『うん、だってジェル言ってたじゃない、「優しさの塊みたいな知人が居る」って…そんな風に言えるって事は嫌いな人じゃないんでしょ？』




ジェルは小さく頷いた

＊４１話＊【1人じゃない】→←＊３９話＊【鍵の使い道】

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