二匹 ページ2
廊下で木兎さんと木葉さんと小見さんにあった。
木「なぁなぁ!聞いてくれよ赤葦!さっき廊下でさぁ、超美人な女子とすれ違ったんだよ!」
赤「…そういえば木兎さん夏休みの課題終わらせたんですか?」
木「どんな人ですかって聞いて赤葦!あと僕は夏休みの課題終わらせてません!」
…呆れた。
赤「…どんな人だったんですか」
木「よくぞ聞いてくれた!あのな、なんて言うかな…狼みたいな!」
狼って美人なのか…?
木「俺めっちゃ睨まれたけど、なんかドキドキした」
木兎さんってそういうの趣味なのか…
赤「そうですか」
隣で何やら小見さんと木葉さんがおどおどしている。どうしたのだろう?
木「あんま見ない顔だったんだよなー!」
小「木兎、それ…」
木「なんだ?」
秋(木葉)「噂の一匹狼じゃねぇ?」
噂の、一匹狼?
赤「なんですかそれ」
小「いま二、三年の間で話題になってんだけど…今日さ、二年生の一人が停学明けで戻ってくるんだ」
へぇ…停学明けか…何やらかしたんだろ。
秋「二年六組、大神Aっていうんだけどさ、それがすごい美人らしいのよ」
小「でもな…」
秋「素行不良とか、目つきが悪いとかで、あんまりいい噂がなくてさ。誰とも群れない。だから、一匹狼って言われてる」
…異名、みたいな感じだろうか。
赤「木兎さんそのうちその、大神さんに殺されるんじゃないですか」
木「なんで!?」
赤「…なんとなくですけど」
木「もう少し俺に優しくしてください!!」
優しく?…してるつもりだったんだけどな。
赤「すみません。気をつけます。それよりそろそろチャイムなります。俺はお先失礼しますね」
おーうと返してくれる先輩方に頭を下げ、教室に戻る。
席に着くとちょうどよくチャイムが鳴った。
ふっと俺は窓を見ようとした。
しかし、窓の外の風景が見えるわけではない。遮られたのだ。
空だったはずのその席には、人がいた。
パサパサした髪、綺麗な手。
鋭いつり目。
美人。
“二年六組、大神Aっていうんだけどさ、それがすごい美人らしいのよ”
さっきのあの子、だ。
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作者名:高嶺紺 | 作成日時:2017年3月7日 0時