番外編 ページ47
帰り道、私達は相変わらず手を繋いで石畳を歩いていた。
「ね、ご主人さま……。来年は射的、しましょうね」
「……うん」
「仮面も買いましょう、狐の。屹度ご主人さまには良く似合います」
「……うん」
「絶対、ですよ?」
「うん、絶対、だね」
その言葉に嬉しくなって私はご主人さまの腕に抱きついた。
其れをご主人さまは優しく撫でてくださって、気持ちがいい。
「……A、お腹空いた?」
ご主人さまが突然そんな事をお聞きになったので私は驚いてご主人さまを見上げた。
「いいえ……。しかし何処かで夕食をとって行かれると云うならばお供致しますが……?」
「いや、いいんだ。私も大してお腹は空いていないからね。ただAがお腹を空かせた儘可愛がるのは気の毒かと思って」
その一言で出掛ける前の出来事を思い出し、頬が熱くなった。
そうだ、私……。
「優しくして下さい、ご主人さま……」
「……ねえA、そんな事を云って私が優しくしてあげた事があったかい?」
「それは……! 意地悪です、ご主人さま!」
「意地悪だなんて。Aがそんな風に煽るからいけないのだよ? 今日もそんな、無防備な格好で……」
ご主人さまの手がそっと私の頬を撫で、其の儘の首筋の方へ滑って行く。
「ご主人さま……だって……」
「いけない子。ご主人さまに口答えをするの?」
「そ、そんなつもりは……!」
「さっきも云ったけれどAがいけないのだよ? 観念し給え」
「……はい」
もう諦めた。それに口で云う程嫌ではないのだ。少し苦しい時もあるけれど、ご主人さまに愛されていると分かって、嬉しいから。
私はご主人さまの手を先程より強く握って、歩いて行った。
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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか? (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします! (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年7月8日 20時