番外編 ページ46
「ああ、やっぱり来るの遅かったですよね……」
「うん……でもいいじゃないか。ほら、林檎飴も買えたしさ、ね？」
「……」
如何にも残念だ、と云いたげに頬を膨らますAは可愛らしい。
しかしそう思うと同時に罪悪感もあった。
Aの云う通り、私達が来た時には既に出店は殆ど終わっており、林檎飴ぐらいしか買う物がなかったのだ。
多分Aは射的なんかもやってみたかったのだろう。
「ね、また来年も来ればいいじゃないか。それで今年出来なかった事を沢山しよう？」
「……約束、ですよ？」
「うん、約束」
Aの手をぎゅっと握り、花火の見える場所に急いだ。
しかし考える事は皆同じで、上の方は沢山の人で賑わっている。
「座る場所、ありませんね……」
「……そうだねえ。仕方がない。とっておきの場所に行こう」
「とっておき？」
「そう。Aと二人きりで花火を見る為に探しておいたのだよ」
その言葉にAは頬を紅潮させ、嬉しそうに笑った。
なんて愛おしいのだろう。今すぐにでも可愛がってあげたい気持ちを抑え、代わりにAの腰に腕を回した。
「此処だよ」
「わあ……本当。花火がとっても良く見えます」
連れて来たのは先程の場所より少し高くて草の生えている場所。
草深いのが気がかりだけれど、Aはある程度の虫なら大丈夫だから問題ないだろう。
「うふふ、気に入って貰えて良かったよ」
「ありがとうございます……」
うっとりと花火に魅入るAは、珍しく可愛いと云うより美しく、何処か妖艶であった。
「ご主人さま……？」
あまりAを見つめていたのでAが不審思ったのか此方を向いた。
花火の光に照らされたAは、嗚呼なんと美しく可愛らしいことか。そしてその全てが自分のモノであると云うことにどうしようもなく喜びを感じる。
「A……あいしてる」
「ご主人さま……。ええ、私も、お慕い申し上げております……」
婉曲に伝えるAの細身をぎゅっと抱きしめた。
「お慕い申し上げている……？ そんなのやだよ。私は……Aから、恋人のAから、愛の言葉を聞きたいの……」
「……治、あいしています」
嗚呼、やっと聞けた。
花火が終わっても私は暫くAを離さなかった。
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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (
レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか？ (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします！ (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒長 | 作成日時：2017年7月8日 20時
