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首輪が22 ページ23

「A……?」
「……です」
「何?」
「嫌いです! ご主人さまなど、大嫌いです!」

私は其れだけ云って家を飛び出した。
兎に角今はご主人さまの会顔を見ていたくなかった。その目にもし軽蔑の表情が浮かんだら、呆れの表情が浮かんだら、屹度平静ではいられなかっただろうから。

「もしもし、紅葉姐さま?」

唯一ポケットに忍ばせていたスマホで紅葉姐さまに電話をかけた。

「なんじゃAか。何か用かえ?」
「あの、今から其方に伺いたいのですが、宜しいでしょうか」
「……わかった。温かい物を作って待っておるぞ」
「ありがとうございます」

何かを察したのか紅葉姐さまはそれ以上問い詰めてくることはなかった。
紅葉姐さまの家は此処からそう遠くはない。私は夜の路を急いだ。



「うう……ご主人さまの馬鹿ぁ……」
「よしよし。こんなに可愛いAを泣かせる太宰の童など捨ててしまえば良いのじゃ」
「嫌ですぅ! ご主人さまとは別れません!……ご主人さまが望まれるなら別ですが……」

あの後紅葉姐さまの元へ行くと紅葉姐さまは何と熱燗を準備していらした。
"どうせ太宰の童と何かあったのじゃろう。そう云う時は飲んで忘れることじゃ"
紅葉姐さまには何でもお見通しだ。私は時間を忘れ酒に溺れた。

「全く……。ほれ、そろそろやめんと明日が辛いぞ?」
「うう……ご主人さまと顔を合わせたくありません……」
「何故じゃ」
「だって……。急に怒ってしまって、私、身勝手な女だって思われたらどうしましょう。いえ、屹度もうご主人さまは私に飽き飽きしていて、別の女性と……」
「お主は酒を飲むとほんに阿呆じゃのう。もう酒は終いじゃ。其処で休むといい」
「失礼します……」

其れだけ云って私は重い体を姐さまの寝台に預けた。




「……うむ、そうじゃ。お主、悪戯も程々にしておくのじゃぞ。余りひどい様なら……。……わかっておるならよい。ではな、Aを頼むぞ」

そんな声が聞こえた様な気もした。

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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか? (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします! (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:徒長 | 作成日時:2017年7月8日 20時

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