首輪が十五 ページ16
「えっ……。でもその時、ご主人さまは会食が……」
「そう、そうなのだよ。森さんも良い加減にして欲しいよねえ。君が私無しでも戦える様にだってさ。巫山戯てるよ全く」
「……」
云いたい事をいってAの反応をみようと思ったのだが、Aは意外にも何も反応しなかった。
「A? 如何したのだい?」
「……ご主人さま、私、やります」
「うん?」
「いえ、もとより首領の御命令に逆らう積もりはありませんが、もし受けなくても良いと云われても私、やります」
「……何故だい?」
「私、気付いていたんです。
私が太宰幹部の足枷になっていること。ご主人さまがそう思われなくても、周りはそう思っているのです。
だから、ご主人さまがいなくても私、戦えると証明したいのでーー」
「ーー何それ」
Aの話を最後まで聞かずに遮った。
嗚呼、怒りでAを壊して仕舞いそうだ。
「君はそんな奴らの云う事を鵜呑みにするの? 主人で恋人である私の言葉よりも、そんな奴らの言葉を気にするの?」
「そんな、そんな積もりはーー」
「ーー君がどんなつもりだったか何て如何でもいい。何故、私だけを見ない? 君は私だけを見ていれば良いのだよ。何故其れが分からない?」
「ご主人さま……」
Aの手を壊す程強く手を握り、耳元で囁く。
Aがどんな顔をしていようと如何でもよかった。唯私だけを見ないA、私のAに要らぬ事を吹き込んだ奴らが憎かった。
「私は君をそんな悪い子に育てたつもりはなかったのだけれどね。君にはもう一度躾が必要な様だ」
「ご主人さま……! んっ……」
Aの顔を無理に此方にむかせ、衝動の儘に口付けをした。
苦しそうな顔をするが関係ない。私を怒らせた君が悪いのだよ。
「んっ、はぁっ、……A……」
「やっ、ご、しゅじん、さまぁ……」
「おい、いるんだろ? 入るぜ?」
その声と共に中也が入って来た。そういえばノック音が聞こえた気がするが、中也だったのか。
気にせず私は口付けを続けた。
「やぁっ、ごしゅじんさ、んんっ」
「えっ、あっ、悪い!」
やっと気付いた中也が顔を赤くして回れ右をした。全く最初からそうしていればいいのだよ。
そう思ったのに。
「ちゅっ、や、さまっ……」
「A……?」
ほんの少し、ほんの少し中也に気をとられた隙にAが途切れ途切れの声で中也を呼んだ。
当然其れを聞き流す中也ではなく近寄ってくる。
嗚呼、忌々しい。私は怒りに身を任せAを殴り飛ばした。
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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか? (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします! (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年7月8日 20時