首輪が十四 ページ15
「首領、もう一度云ってください。如何やら聞き間違いをしてしまった様だ」
「おや、太宰君にしては珍しいね。月宮君を次の任務に出すと云ったのだよ」
苛立つ私と対照的に余裕げな笑みを見せる森さん。
「ですがその時私は別の任務ですよね?」
「そうだねえ」
「其れにこの任務は戦闘ですよね?」
「そうだよ」
「Aは私がいないと真の実力を発揮出来ない筈ですが」
「其れでは困るのだよ」
全然困ってないくせに。
「月宮君は確かに優秀だ。しかし其れは太宰君がいての話。勿論其れでも良いのだけれど、此れくらいの敵は太宰君が居なくても倒せなくては困る」
「しかし芥川君と、と云うのは……」
「彼にも良い経験だろう? 月宮君との任務で協調性を身に付けるかもしれない」
森さんの意見は間違っていない。芥川君にもいい加減協調性を身に付けさせたいと思っていたし、Aにもある程度の強さは必要だと思っている。だが、其れとこれとは別問題だ。
「……了解しました」
私は静かに森さんの部屋を後にした。
森さんは分かっていない。いやあの人のことだ。分かっていて敢えてやっているのだろう。
私が心配しているのは、Aが私の知らない所で傷を付けられる事だ。芥川君と仲良くなってしまう事だ。
「ご主人さま、どうかなされましたか?」
執務室に戻ってきた私を出迎えてくれたのは愛しいA。私は思わずAに抱きついた。
「わっ、ご主人さま⁉」
「A……。私、……」
「如何なされたのですか」
Aは優しく頭を撫で、私を執務室の椅子に案内する。私はAの手を取り、Aを膝に座らせた。
「ご主人さま、あの……」
「……」
恥ずかしがっていたAだが、私が離す気がないと分かると大人しくされるが儘になった。
だから可愛いのだよ、この子は。
「……ねえA。君は私のペットであり恋人だ。そうだよね?」
「はい、ご主人さま」
「ペットとはご主人さまの云う事を聞くものだし、恋人とは相手に愛を注ぎ決して他の男になんかうつつを抜かさないものだよね?」
「はい……?」
よく分からないと云いたげなAの手をきつく握り締める。そしてAの肩に頭を乗せた。
「ねえ、最近噂になっている麻薬組織は知ってるね?」
「はい。ポートマフィアの傘下組織を潰してツテを奪ったとか……」
「そう、其処。芥川君が殲滅する事になっているのだけれどね、……其れに君も同行する事になったのだよ」
溜め息混じりにそう零した。
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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか? (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします! (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年7月8日 20時