首輪が12 ページ13
私はご主人さまから送られたメールを見てやきもきしていた。
"明日帰る"
明日、とはつまり今日の事で、部下の方からの連絡によると夕方頃、夕食に間に合うようにお帰りになるらしい。
少し仕事か片付いたのでお電話をかけていたけれど、迷惑だったのだろうか。
だからこんなにも素っ気ない文なのだろうか。
昼間は色任務などしないと思っていたが、他の仕事をなされていたのだろうか。
考えれば考えるほど不安になる。
「此処はご主人さまのお好きなものでご機嫌を直して頂いて……」
そう考えた私は早速蟹を用意した。
勿論お酒も一緒だ。
「此で、屹度……」
機嫌がなおらなかった時が怖いが、此しか思いつかない。
後は寝台を整え、風呂を沸かし、お待ちするだけだ。
約一時間後……
「お帰りなさいませ、ご主人さま」
「……」
ご主人さまがお帰りになられた。
矢張りご主人さまは不機嫌そうで、目も合わせて下さらない。
「本日のお食事は蟹鍋でございます。勿論、お酒も用意しております!」
外套を脱がせ乍ら云うが、ご主人さまは相変わらず不機嫌そうで何も話されない。
ああ、矢張り駄目だっただろうか。
「……先、シャワー浴びてくる」
「あ、はいっ。準備は出来ております」
其れだけ云ってご主人さまはお風呂場に行かれてしまった。
暫くしてお風呂場から聞こえて来た音は随分乱暴な音で、ご主人さまがひどく苛立っていらっしゃるのがわかる。
どうしよう。ご主人さまにご機嫌を直して頂きたい。
いい子だね、と頭を撫ででもらって、その胸に抱き込んでもらって、そして……。
私は少し考えていたが、結局我慢出来ずに脱衣所に飛び込んだ。
「ご主人さま!」
「何……」
既にお風呂場に入られたご主人さまのくぐもった声。私は扉に近づいた。
「御免なさい、私……、しつこくお電話してしまって……。其れに中原さまとお食事に云った事も……。
お許し下さい、お願いです……」
最後は縋るようになって云うが、ご主人さまからの反応はない。
「ご主人さま……?」
もっと怒らせてしまったか、と思ったその時、お風呂場の扉が突然あいて、其処から伸びてきたご主人さまの手に腕を取られた。
「わっ」
気づけば私はご主人さまの胸の中で、身につけていた衣服は蒸気で濡れている。
「ご、ご主人さま?」
「……透けてる」
その言葉に下を向けば白を基調とした私の服は見事に透けている。
……。
「見っ見ないでください!」
思わず叫んで体を隠した。
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滓跂(プロフ) - 知りもせずに余計なことを言ってしまい、大変御迷惑を掛けました。御免なさいm(_ _)m (2017年8月12日 9時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - 滓跂さん» 小説の説明にも書きましたが、検索避けです。コメントありがとうございました。 (2017年8月12日 8時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - あの、大宰さんじゃなくて太宰さんじゃないんですか? (2017年8月12日 7時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
さらん(プロフ) - 私も主人公の過去編お願いします! (2017年7月30日 17時) (レス) id: 2cee163366 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 主人公の過去編お願いしますm(_ _)m (2017年7月26日 18時) (レス) id: 2eda603fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年7月8日 20時