Lothar von Richthofen ページ21
#
変な世界に飛ばされてきて数日が経った。
無事兄さんと再会を果たし、飛行機はおいていくことになったが…この世界にも慣れてきた。
ただ一つ、元の世界に心残りがある。
それは、兄さんの婚約者であったAさんのこと。
「お前もAのことを気にしていたのか」
「ええ、兄さんは彼女のこと大好きだったから、気にしていると思って」
「……あいつも運良くこの世界に来たらいいんだが」
兄さんは頬杖をついて苦笑した。
それは本気でそう思っているんだろうな…と感じられる声色だった。
たしかに、僕も兄さんとAが幸せそうにしているのを見たい。
この世界に運良くやってきてくれたら、と思うのは一緒だった。
だがかなわないからこそ苦しい。
兄さんはきっと今でも夢に見るのだろう。幸せだったあの頃を。
畑仕事を進んで行うAさんを、珍しく自分も参加したあの日を。
撃墜王というあだ名がついたと報告した時の、あの嬉しそうな笑顔を。
「Aにプロポーズできなかったのが、一番悔しいかな」
「…兄さんらしい」
一生を添い遂げることができなかったのが、じゃないところが、兄さんらしい。
こんな兄さんに愛されて、本当にAさんは幸せだったことだろう。
僕はなんだか、心が暖かくなったのだ。
#
Edward Mannock→←Manfred von Richthofen
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍夢(プロフ) - ああああなんかもう、、、ありがとうございます(スライディング土下座) (2017年8月20日 0時) (レス) id: c8273cf735 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ありす | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月25日 17時