line 102 ページ33
私が問うと一瞬で真面目な表情になった。ゆっくりとした動きで口を開く。
「ポートマフィアは君を守らないのかい?」
『今のところは全く』
太宰は私から目を逸らして何処か虚空を見つめる。顎に手を当てて何か考えている。
…太宰の頭の中ってどうなってるのかな。覗いてみたい。
「落ち着くまでAは探偵社にいること。と接触も禁止。いいね」
『わかったよ』
「これはAの為だよ。私はAを守りたいんだ」
微笑んでありがと、と小さくつぶやく。私の為だなんて大袈裟。そんなに価値のある人間ではないから。
そして私は目を伏せた。
『…私は強くない。弱いから、誰かに守ってもらうしかない』
「A?」
『ああいや、なんでもない』
ほとんど無意識に云っていたようだ。頭から消して違うことを考える。
…このごたごたに探偵社って既に参加してるの?今のところポートマフィアと組合の対立としか考えられないけど。
『ねえ太宰』
「なんだい?」
『私、探偵社をこの抗争に引きずり込むよ』
「Aにできるのかい?」
挑発するような太宰の言葉に私はニヤリと笑って答える。自信たっぷりに、魅せるように。
『甘く見ないでよ』
「ふふっ…あはは!」
『な、ちょっと!?』
突然笑い出す。なんだか急に恥ずかしくなってくる。
折角かっこつけたのに!太宰のせいで台無し!柄じゃないことはしないことだな。
「いや、ごめんごめん。中々珍しいAだったから」
『…絶対中也と組ませてやる』
「ほんとにごめん、だからそれはやめて」
厭だね!と云ってそっぽを向いた。これは太宰が悪い。
そんなことを考えながら探偵社を引きずり込む方法を考える。半ば見切り発車。でもどうにか停戦協定を結んで、少しでも共闘に持ち込めればこっちの勝ちだろう。
するとひょこっと私の視界に太宰が入り込む。
「Aの立案、楽しみにしてるよ」
『楽しませられるように努力するよ』
「じゃあまた」
そう云い残して部屋から去っていった。医務室にはぽつんと私一人だけ。
…特務課も引きずり込んじゃう?でもそれはかなりのリスクが伴う。まずは探偵社からだね。
77人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす)(プロフ) - 謝花さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです!!頑張ります!(泣) (2019年4月9日 22時) (レス) id: a597ec67e5 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 中也さんカッコいい可愛い!更新頑張って下さい! (2019年4月9日 13時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)
九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす)(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます…!!!!初めてコメント頂けてうれしいです(泣)がんばります〜!! (2019年3月11日 16時) (レス) id: 382e747ebe (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 凄く好みです、更新頑張って下さい! (2019年3月10日 19時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2019年1月4日 18時