＊ ページ10
「…何かついてる？俺の顔」
「あ…いや！意外と普通男子だったんだなーと思って」
「ぷっ、何、普通男子って」
「私の櫻井くんのイメージは…なんていうか、こういう庶民的な店じゃなく高級レストランが似合う人だったので…」
「高級レストランのが良かった？」
「いえ！逆です逆！こっちのが断然良いです！」
「…そ？なら良かった」
ふふっと笑って、袖を少し捲くって頬杖をつき、メニューに目を落とす櫻井くん。
そのなんて事のない動作がとてつもなく綺麗で。これもまた、スチルにして収めておきたい光景だった。
(睫毛、ながぁ…)
「…」
(唇もぷるぷるぅ…)
「…」
(手も超キレイ…)
「あのさ、」
「！」
しまった。見惚れてたか私。
「そんな風に男のこと見るの、相手に勘違いさせるからやめた方がいいよ？」
「え」
「Aちゃんが思ってる以上にAちゃんは可愛いからね」
「思ってる以上に…」
「自分のビジュアルどれくらいだと思ってる？」
「えー…どれくらい…」
これはあれかな？"上の中"とか"中の上"とかのやつ？それなら……
「下の……上」
これはかなり謙虚な答えだと思う。なのに、
「あ。そんな上だと思ってたんだ」
「ちょっと！？」
「前向きでいいと思うよ。うん」
「櫻井くんは一体私のビジュにどんなランク付けを…」
「俺はね？それこそ下の上だと思ってんの。でもAちゃん自身はきっと下の下、もしくはそれ以下だと思ってんのかなーって」
「あぁ…」
だから"Aちゃんが思ってる以上にAちゃんは可愛い"なのね。自己評価高すぎたなぁ私…。
＊＊＊＊＊
「まだ落ち込んでんの？可愛いっつってんのに」
「だって…」
美味しそうなお料理を前に、私はいまだテンション下げ下げで。
櫻井くんはというと、そんな事お構いなしでもぐもぐと料理に食らいつく。
「意外とこういうのでヘコんだりするんだね」
「そりゃあ！…だって女の子ですから」
「ふーん？」
「それに、これでも一応女子力に磨きをかけていますし…」
「…」
「相葉くんに振り向いてもらう為に…」
「あっそ。……はい、あーん」
「…？あ。」
つい脳内が相葉くんモードに入ってしまった私に、櫻井くんは唐揚げを私の口元に近付けた。
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作者名：ミト
| 作成日時：2017年8月10日 18時
