＊ ページ7
「んっ…んんぅっ…」
部屋が明るくなって、今、自分が大野くんに何をされているのか。
「キス魔」という情報を元に私の脳内は一瞬で答えを出した。
(キっ…キスぅ…！)
これが"キス"なのか…と初めての感触に抵抗することも忘れて、ただされるがままの状態でいるとやっと大野くんは唇を離し、
「ふふ…やらかぁい…」
天使のような微笑みを見せた。
「あ…あ…」
そんな大野くんから私は後ずさりで離れて、庭に居た二宮くんと相葉くんに目を向けた。
すると２人は、ただ黙ったまま身体を凍りつかせている。
「智…お前、今…」
「間に合わなかったか…」
玄関の方から戻ってきた２人も、凍りつくまではいかないが目を見開き、口をあんぐりと開けていた。
・・・。
しばらくの沈黙が家の中を漂って。
私もみんなも気まずい表情を浮かべる中、唯一ふわふわと良い気分な大野くん。
そんな奇妙な空気を破ったのは、二宮くんのドスドスと怒りに満ちた足音だった。
(に、二宮くん…？)
何も言わないまま大野くんに近づいた二宮くんは、大野くんの胸ぐらを思い切り掴み上げた。
「智、てめぇ」
(わっ…ちょっと待って…！)
いくらなんでも殴るのだけはっ…！と、２人の間に割り込もうとしたその時、
二宮くんは掴んでいた大野くんの胸ぐらをさらに自分に近付けて。
「え！？二宮くん！？」
次の瞬間、彼は大野くんの唇に"ぶっちゅー"と熱いキスをぶつけた。
「きゃー！」
「カズ！？」
「マジか！」
「あいつ…正気じゃねぇ！」
その熱烈キッスは５秒ほどで幕を閉じ、大野くんはじぃっと二宮くんを見つめた。
「。。。」
「頬を染めるな！」
ドン！と二宮くんに突き離されてしまった大野くんはそのままソファにちょこんと座ると、頬を赤く染め続けていた。
「俺がシャンパンを与えたせいで…なんかごめん」
「いやぁ…長い戦いだったわ」
「カズ…大丈夫？」
「…」
相葉くんの心配そうな声をスルーした二宮くんはこちらまでやって来て、今度は無言で私の手を引いた。
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作者名：ミト
| 作成日時：2017年8月10日 18時
