#3 ラブ・クエスト【ars K.N】END. (ページ5)

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Lv24.お前ら、逃げ惑え。ページ5

「じゅーんくーん！」
「うわっ！こっち来んな！やめろっ！」

　庭の中で大野くんが松本くんを追いかけている。

　そしてその様子に気付いた二宮くんと櫻井くんは慌てて家の中へと駆け込んできた。

　一体なにが起こっているというのだろう…私は隣にいる相葉くんに首を傾げてみせた。

「やばいな…」
「やばい？」
「智くん、酔っぱらうとキス魔になるんだよね」
「キ！キス魔…！」

　と、いうことは。

　大野くんは今、キスをしようと松本くんの事を追いかけ回しているの…？
　逃げ切って…！松本くん…！

「おい誰だよ！智にシャンパン与えた奴！」
「ごめーん潤くん！それ俺だわ！」
「翔っ……智へのシャンパンは禁止にしてたはずだろーが！」
「本当ごめん！今日くらいは飲ませてやってもいいかなぁって！…わっちょっ！ははッ！カズも逃げろ～！」
「お前らこっち来んなって…！俺を巻き込むな！」
「みんなぁ～待ってよぉぉ～～」

　大野くんが松本くんたちを愉しそうに追い掛けるの図。これは誰かが犠牲にならないと一生終わらないやつだ…。

　…と、キッチンから相葉くんと一緒に傍観していた時、足をピタリと止めた大野くんがゆっくりとコチラを向いた。

「……そこにも居たかぁ」

　ニヤリと浮かべたその笑みに私も相葉くんもビクっと肩を跳ね上がらせて、

「Aちゃん…！俺たちも逃げるよ！」
「はっはい…！」

　猛ダッシュでキッチンから逃げ出した。

「まぁ～てぇ～」
「きゃー！」
「ちゅ～させろぉぉ～」
「きゃーきゃー！」
「智くん！女の子はダメだって！するなら潤くん達にっ…」
「おいおい！こっちだって絶対イヤだからな！カズにしよろ！」
「無理！まじ無理！こうなったのも翔ちゃんのせいだろ！翔ちゃんがなんとかしろよ！」
「ヤダヤダ！絶対ヤダー！」

　キス魔と化した大野くんから必死で家の中を逃げ回る私たち。

　彼のターゲットは定まっていない様子で、とにかく自分に近い人から追いかけ回す。

　もうそろそろ誰か諦めて捕まってくれないとこちらも体力が持たない。

　お願いだから早く誰か犠牲に…と、足を止めて少し休憩していたその時、

___＿"ブォンッ…"

　重量感のある音が鳴ると共に家の中が真っ暗になって。

「………お前ら、逃げ惑え。」

　ラスボス感溢れるキス魔の声が私たちの耳を怯ませた。