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花宮×蓮水―12― ページ46

中に入ったはいいものの、私は花宮さんを訪ねた理由をなかなか言い出せず、玄関で立ち止まってしまった




「どうした?」


『あの、実はお願いがあって……』




こんな事をお願いしたら、きっと困らせてしまう

図々しいって、嫌われるかもしれない




『今日、本当はお姉ちゃんが帰ってくる予定だったんですけど……台風で電車止まって、帰れなくなって……雨も……強くて……その……』




自分でも何が言いたいのかわからなくなってきた

でも、焦って上手く説明できない




その時、花宮さんがそっと私の頬に手を触れた

驚いて花宮さんの顔を見上げる




「涙の跡がある。泣いてたのか?」


『あ……あの……実は……今日、お父さんとお母さんの命日で……』


「もういい、わかった」


『え……?』


「今日1人なんだろ。だったら、うちに居ればいい」


『!……いいんですか……?』


「別に。いつもの事だろ」




そう言うと、花宮さんは私の頭をポンポンと撫でてくれた

嬉しくて、また好きが増してしまう

でもやっぱり、花宮さんにとって私は……




『手間のかかる妹で、いつもすみません』


「妹……?」




冗談交じりのつもりで言ってしまったが、花宮さんは首を傾げた




『そうじゃないですか……?』


「さぁ。俺、妹いないから考えた事もなかった」


『え……私の事も……?』


「当たり前だろ」


『それじゃぁ私は……いや、やっぱりなんでもないです!』




私は言いかけた言葉を急いで撤回する

その先はまだ怖くて聞けないけど、私はちゃんと女性として見られていることが嬉しかった

妹じゃない。1人の女性として、花宮さんは心を許してくれている




「泣いたり笑ったり、忙しい奴だな」




そう言ってふいに微笑む花宮さんに、またドキっとする

私にもまだ、チャンスがあるかもしれない




それからは2人で雑談をしたり、ご飯を食べたり、テレビを見たりして……

あっという間に就寝時間となった




『私、やっぱりソファでもいいですよ?』


「いいから、ベッド使え」




初めて花宮さんの寝室に入る

今まで何回かお家には来ていたけれど、一度も入った事はなかった

ベッドの他には本棚や作業机などがあって、寝室も落ち着いた雰囲気の部屋だった




「俺はリビングにいるから。何かあったら呼べ」


『ありがとうございます。おやすみなさい』


「おやすみ」




布団に入ると、花宮さんの匂いでいっぱいで……すぐに眠りに落ちた

花宮×蓮水―13―→←花宮×蓮水―11―



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設定タグ:黒子のバスケ , 花宮真   
作品ジャンル:恋愛
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/  
作成日時:2019年10月1日 17時

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