理性と野性は相容れない【花宮真】

地縛霊―13― ページ13

何とか誤解を解き、Aをギロリと睨む




『？』




意図が伝わっていないのか、ニコニコしながら首を傾げる

そんなAに、俺はスマホで文字を打ち話しかけた




"なんでお前がこいつらの事を知っている"




それを見たAが察したのか、答えた




『この部屋の半径500ｍ以内なら外も出られるの。だから、こっそり真が部活やってる所見ちゃったんだよね』


"は？なんで今まで言わなかったんだよ"


『だって、最初に言ったらこの部屋に戻ってくるなって言われると思って……』




確かに、俺ならそう言っただろう

実際に今だってこいつを追い出したい


でも俺は、今すぐ出て行けと打てなかった




『私、真の約束守ってるよ？だから、まだここにいてもいいでしょ？』




俺はしばらく考え、文字を打った




"一度言った事には責任を持つ"




すると、Aは笑顔でありがとうと、嬉しそうに言った

……Aの笑った顔を見ると、なぜか胸が締め付けられる

きっと、これも風邪のせいだ




「あれ？花宮何か作ってた？」




いつの間にキッチンにいた原が俺に話しかけた

そういえば、Aがおじやを作っている途中だった事を思い出す




「もしかして花宮が作ったおじや？めっちゃいい匂いするんだけど。ちょっと味見――」


「勝手に食うな。お前は大人しくたこ焼き作ってろ」


「ちぇー、わかったわかった」




おじやに手を付けようとする原の腕を、咄嗟に掴んで止めた

なぜかAの作った飯を他の奴らに食わせたくないと思った自分がいる

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