地縛霊―24― ページ24
俺はアルバムを持って図書室を飛び出した
1年3組の所に、他にもよく見知った顔がある
"花宮 朝陽"
もう逃がさない
絶対に聞き出してやる
数学準備室のドアを開けると、そこには驚いた顔の雛森がいた
俺は立ち尽くす雛森に近づき、アルバムを目の前で見せる
「どういう事か説明してもらうからな。雛森……いいや、姉貴」
「っ!どうして、それを真が……!」
Aと姉貴は同い年
そして、同じ1年3組に通うクラスメイトだった
「今、書架整理してるだろ。そこで見つけたんだよ」
そう言うと、姉貴はふらふらとよろめき、椅子に座った
俺はお構いなしに質問を重ねる
「香椎A。知ってんだろ?あーちゃんなんて呼ばれて親しかったのも知ってる。なんで……なんであいつは、死んだんだよ」
「私が……いけないの……。私が、Aを殺した……。ごめんなさい、ごめんなさい……」
姉貴は顔を覆い、呟くようにそう言った
時折、グスッと鼻水をすする音と、我慢しきれなかった嗚咽が聞こえる
泣かせるつもりはなかった
でも、もう後には引けない
「俺の部屋にいるんだ。Aが」
すると、姉貴の肩が揺れ、ゆっくりと顔を上げる
そして、信じられないという顔で俺を見た
「Aはまだ、1年3組の教室にいるんだよ」
「そ、そんな……そんなことって……」
「この前俺の家に来た時言ってたよな?同じ景色だって。つまり、元々あった旧校舎の上に、俺の住むマンションが建った。そして運悪く俺が住む部屋となった場所が、当時1年3組の教室があった場所と一致した」
姉貴たちが霧崎第一高校に入学する時、新校舎建設は既に始まっていた
そして、姉貴たちが卒業と共に旧校舎は取り壊され、次第に俺が今住んでいるマンションや家が建つようになる
新校舎になってからは、制服のデザインまでも変わった
男子は学ランからブレザーに、女子はセーラー服からブレザーに
だから記憶のないAは検討もつかなかったんだ
自分とは制服が違う
「信じられないかもしれないが、本当の話だ。そもそも、俺がこんな冗談言うわけないってわかってるだろ」
姉貴は肯定も否定もせず、しばらく自分の腕を抱き、俯いた
そして、覚悟を決めたのか、俺を見上げる
「真の事、信じる。だから、全部話すよ……Aがどうして自_殺したのか」
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みかん(プロフ) - 五月雨雫さん» わぁぁコメントありがとうございます(´;ω;`)!!!完結後にも感想をいただき本当に嬉しいです(泣)おかげさまで私も作ってよかったと思えました!!またどこかでお会いできることを楽しみにしています(*‘∀‘) (2020年5月11日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨雫(プロフ) - 全話読ませてもらいました!!凄く好みの感動系でなんと言ったら良いか…!作品、物凄く好きです。読者一意見として作ってくださってありがとうございます!! (2020年5月10日 8時) (レス) id: 603d70d68d (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» ご丁寧に返信までいただきありがとうございます(泣)感謝感激です(´;ω;`)これからも誰かに感動してもらえるような作品を作れるように励もうと思います!こちらこそありがとうございました(泣) (2019年11月20日 11時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - こちらこそ本当に素敵な作品をありがとうございました。最後のお話で本当に感動で泣けました泣ありがとうございました!!! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - さくみさん» あああぁぁああぁ(嬉し過ぎて語彙力が著しく低下しました)笑。コメントありがとうございます!!まさか、自分の作品で感動していただける日が来るとは……その事実に私も感動しました(泣)作ってよかったと思えました!!本当にありがとうございます!! (2019年11月19日 22時) (レス) id: 60ab1a28d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年10月1日 17時