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溺れる―2― ページ2

ある日、生徒会の会議のせいで部活が遅れた時のことだった

俺は体育館へ向かおうと歩いていると、三雲の姿が横目に入った


三雲はそのまま、今年から立ち入り禁止になった旧校舎へと向かって行く


なぜそんな所に?


俺は無視しようとした

でも、気になる

体育館へ向けていた足を旧校舎に方向転換する


もし見つけたら、立ち入り禁止だと注意しよう



そのまま三雲は旧校舎の元図書室だった場所のドアに立つと、ポケットから鍵を出し、中に入って行った

一体何をしているんだ?


俺はそのまま追いかけ、図書室のドアを開ける




『あ……』




三雲と目が合い、彼女は小さな声を漏らした

授業以外で、初めて三雲の声を聞いた気がする




赤「ここは立ち入り禁止のはずだが」




そう言うと、三雲は焦ったように息を乱し、目を泳がせた

何かを言おうとしているのに言葉にしなくて、もどかしさが募る




『お、お願い……誰にも、言わないで……』




やっと口から出た三雲の言葉は、俺の心臓に酷く響いた

彼女の震えた足は今にも崩れ落ちそうだ




赤「……いいよ。誰にも言わないで上げる。もちろん茉莉花にも」


『ほ、本当……?』


赤「あぁ、約束する」




三雲は体に入っていた力を抜いて、ホッと肩を撫で下ろした

そんな安心も束の間、俺は三雲に詰め寄った




赤「そのかわり、俺の言う事聞いてよ」




三雲は戸惑ったように俺を見た


俺は茉莉花みたいに三雲を虐める趣味はない。でも、なぜか彼女に興味を抱いてしまった




『……分かった。何でも聞くよ』




驚いている割に、三雲は案外あっさり返事をした

提案したのは確かに俺だが、あまりの決断の早さに少々面食らう




赤「へぇ……何でもしてくれるの?」




三雲は不安を抑えるように握った拳を自身の胸に埋めながら、コクリと頷いた

本当に言っている意味が分かっているのだろうか


俺は三雲の長い前髪を退かし、顎を持ち上げた

彼女の深海のような碧い瞳が俺を放さない

肌理細やかな白い肌が、一層碧い瞳を引き立たせる




赤「これからよろしくね。A」




俺はそう言い残して旧図書室を後にした

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設定タグ:黒子のバスケ , 赤司征十郎 , みかん   
作品ジャンル:恋愛
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オタク達の味方 - お願いします!!どうか!どうか!続きをください!!一生のお願いです!! (2021年8月20日 13時) (レス) id: 08c93ec232 (このIDを非表示/違反報告)
るるるs - 続き気になる…更新されないのかな? (2020年9月11日 9時) (レス) id: 7f6b75982b (このIDを非表示/違反報告)
なな@アンナ天使(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!もう見れないのかな…頑張ってください!! (2020年5月20日 19時) (レス) id: e248d88fc2 (このIDを非表示/違反報告)
いちぴ - 大分たっていますが、最新お願いしたいです (2019年10月30日 1時) (レス) id: 9cde7eefe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月4日 23時

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