01 ページ3
.
何だか鼻につく薬草の匂いに意識が浮上する。
その瞬間、Aの鼓動は早鐘を打った。
見知らぬ少女がこちらを覗き込んでいるのを認識したからだ。
否、正確には見知らぬ少女では無いかもしれない。
赤褐色の髪に明るい緑色の瞳、屈託のない笑顔。
「.......大丈夫？」
もしかして、これは夢？それとも新手のドッキリか何か？
だって、まさか、そんなはずがない。
ぐるりと周りを見渡してみれば薄暗い地下牢、真剣に何かを調合する生徒達。
｢えっ、あっ、｣
赤毛の少女にキョトンとした顔で見つめられる。
お願いだからそんな顔をしないで欲しい、その顔をしたいのは寧ろ私の方だ。
｢Ms.A、手が止まっているよ。｣
突然、耳に飛び込んできた男性の声
驚いて顔を上げれば立っていたのは小柄な禿頭。
この状況にありえない、俄に信じ難い仮説が脳裏を過った。
｢スラグホーン先生！
Aの様子がさっきから変なんです。
もしかしたら体調が悪いのかも.......。｣
ス、スラグホーン先生？と、いえば確かセブルスの前に魔法薬学を教えていたスリザリン寮監の＿＿
これはきっと夢だ、夢に違いない。
有り得ないと呟きながら、二の腕を思い切り抓る。
｢.......痛っ｣
｢やはり具合が悪いようだね。医務室に行きなさい。｣
｢そうよA、医務室に行った方がいいわ。｣
赤毛の美少女、いや、リリー・エバンズはきっぱりと言った。
何が起こっているのか理解出来ぬまま、半ば強引に手を引かれ地下牢を後にする。
先を行くその赤毛を眺めながら、ここは本当にハリーポッターの世界なのだろうかと考える。
もし本当にハリーポッターの世界だとするのならば、私は魔法を使えるのだろうか？純血？両親は？
｢校長先生？！｣
突然立ち止まったリリーにぶつかりそうになり、慌てて体制を整える。
その華奢な背からちらりと前を覗くと、長い髭の老人と目が合った。
意味あり気な笑みのあと、ちょいちょいと手招きをされる。
中々一歩を踏み出せずにいると、リリーに思いきり背を押された。
｢えっ、ちょっと.....｣
｢また迎えに来るわ！｣
リリーはやはりとても美人だ、ジェームズさえいなければ彼女は常に男子生徒に囲まれていたりしたのだろうか。
なんて、まだ夢心地の頭でそんな事を考えながら去っていく後ろ姿を眺めていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 279人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usagi(プロフ) - 哀羅さん» 哀羅様。はじめまして、コメントありがとうございます。ルーピン先生とても魅力的な方ですよね.......その魅力をどうやって文字に起こすか、常に考えながらこの作品を書いております。更新はスローペースですが完結までお付き合い頂けると幸いです＊ (2020年10月27日 6時) (
レス) id: 65ea0692b5 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - お初お目にかかります。ルーピン先生！私も一番大好きな人なんです。嬉しいです！今更ですが、一作目からゆっくり読ませてもらってます。 (2020年10月25日 19時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - つくもがみさん» つぐもがみ様、いつもありがとうございます＊ (2020年2月24日 17時) (レス) id: a60327fc69 (このIDを非表示/違反報告)
つくもがみ - いつも楽しく読んでます！！更新、頑張ってください！！ (2020年2月24日 16時) (レス) id: 5f5a117b2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2020年2月1日 0時
