28 ページ28
「入れ」
その声を確認するなり扉を開き
部屋へと足を踏み入れる
相変わらず薄暗く
なんとも言えない空気が漂うこの部屋
奥に目をやればスネイプは
レポートの採点に勤しんでいるようだった
「あの、私を探していたと......」
「ああ、そうだ。」
座るように促され、
Aはソファに腰掛けた
スネイプはレポートの採点を中断し
立ち上がると、向かい側に腰掛ける
「学年末試験、見事だった。」
「ありがとうございます」
口角を上げたスネイプに驚きつつ
Aは差し出されたカップを受け取った
ふんわり漂う檸檬の香り
この人は、檸檬が好きなんだな、と
Aはそんな事を考えながら
紅茶を啜っていた
「最近我輩の元へ来る頻度が減っただろう？
＿＿＿＿＿なるほど。」
1人で何を納得しているんだと
顔を上げたAは
スネイプの視線が首元にきていたことに気付いた
見える所には付けないで、とお願いしたのに
全く独占欲の強い狼だ、とAは溜息をこぼす
「......や。そういう訳ではなくて、
先生もお忙しいだろうから
理由もないのに押し掛けるのは迷惑かと......」
「忙しいのは否定せんが、別に迷惑では無い。」
ぶっきらぼうに紅茶を啜るその姿が
相変わらずで思わず頬が緩む
ルーピンとは違う声、仕草、
カップを持つその長い指を
Aはぼう、と眺めていた
その手に触れられてみたい、
そんな事を思いながら
「夏休みはどうするつもりかね？」
その視線に気付いたスネイプは
一瞬顔を顰め口を開く
Aは慌てて視線を彷徨わせた
「此処に、残ります
私帰る家がなくて.....」
そうか、と特に深入りすることも無く
スネイプはスコーンを口に運んだ
ふとAはスネイプの
口元にスコーンのカスが
ついているのに気付いた
教えるべきか教えないべきか
その口元をじっと見つめ続ける
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょこら(プロフ) - はじめまして！素敵な作品すぎてコメントさせていただきます！本当にこの作品大好きで何回も読ませてもらってます！ちなみに今から4回目行ってきます！笑どのキャラの心境も繊細に書かれていて見る度惹き込まれます…これからもusagiさんの作品楽しみにしています！ (2022年1月24日 23時) (
レス) id: a91831a4da (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 拙さん» そう言っていただけて、嬉しいです！これからも御付き合い頂けると嬉しいです:) (2019年12月8日 17時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
拙 - こういうの凄く好きです。色々な人の心情が分かって面白いです。ルーピンもスネイプも大好きなので本当にありがとうございますｍ(｡≧Д≦｡)ｍ (2019年12月8日 15時) (レス) id: c3f8edfab8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2019年10月26日 14時
