有名イラストレーターは俺の嫁。【urt】

13話 ページ15

ふわふわ、ゆらゆら。

意識が覚醒する前の、海底から浮上していくような感覚が好き。
目を開いた瞬間、大好きな人が目の前にいるのが嬉しい。

『ふふ、わっくんはもう少し休んでてね』

隣で眠る彼の頬を一度だけ撫でて起き上がる。
着替えて、軽く家事をして、わっくんが起きてくる時間に合わせて朝ごはんを作る。これが私のルーティン。




とくとく、きらきら。

彼と一緒にいる時間が好き。何もしなくても心が満たされていくから。
楽しそうに笑う彼が好き。私の周りの世界もキラキラして見えるから。

「A！」

私の名前を呼ぶ声も好き。私のことを大事にしてくれてるのが分かるから。




告白されて、付き合って。

二十歳で同棲を始めて、一線を越えて。

結婚して、大好きな彼の名字を貰って。

お互い支え合って過ごす今の生活が私はとても幸せ。









どんな時も側にいてくれた、大切な人。

『……………渉』

いつかはちゃんと、貴方の名前を呼びたいの。
だから、早く起きて名前を呼ぶ練習をする。









「(んな可愛いことすんなよ馬鹿)」

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