有名イラストレーターは俺の嫁。【urt】

12話 ページ14

うらた「かわい、」

先程から起きる気配もなく、相変わらずシャツの胸元を握ってすやすやと眠るA。
いつも俺よりも起きるのが早いため、寝顔を見るのは久々な感じがする。
一度も染めたことのない黒髪はサラサラで、頭を撫でる度に指の隙間からこぼれ落ちていく感覚が好きだったり。そんな理由もあるため、髪は下ろしてる方が好きである。

『う、ん………………』

Aが微かに身じろぎをした。その後、長いまつげに縁取られた瞼がゆっくりと開いていく。

『あれぇ、わっくんだぁ………』

ふにゃりと笑って、もう一度瞳を閉じた。……え、閉じた?!

うらた「おい、起きないのかよ」

『今日はちょっとだけ、二度寝したい気分』

さらにくっついてきたAに内心戸惑いながらも、優しく抱き締めた。小柄な俺よりもさらに小さくて、言動すべてが愛らしい。
高校時代もそうだった。どんな時にも気がついたら隣にいて、楽しそうに笑っていた。そんな彼女のことを好きになったことに気がついたのはそう遅くなかった。
出席番号が前後じゃなければ、クラスが違ったら、そもそも学校が違ったら、お互いに隣にいる相手が違ったかもしれない。そう思えばこの出会いは奇跡だと感じる。

うらた「おやすみ、A」

彼女の額に軽く口付けて、俺も二度寝しようかと目を閉じた。

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