GUILTY 〜それでも愛してる〜＊岸優太＊

罪＊44 ページ44

触れるだけですぐに離れて行く唇


きっとこれ以上触れ合えば抑えが効かなくなるのはお互い様なんだろう


『早く戻らないと…心配かけてるんじゃない？』


「うん…」


1目でわかる程に赤くなった瞼を隠すようにフードを被り背を向けた岸くん


部屋の扉へと向かう背中を見送るのが辛くて涙が込み上げそうになる


あのドアを開けたらもう2度と会えない


【待って、、行かないで、、、側にいて】


今にも溢れそうな言葉を必死で押し込めてその後ろ姿を目に焼き付けた



部屋を出る瞬間俯きながらちょっとだけこっちを見て


「ありがとう…」


そう言って君は部屋を出た


扉が閉まるのを見送ると崩れるようにその場にしゃがみ込んで泣いた


何度も君に救われてお礼を言わなきゃいけないのは私の方なのに


最後まで君は優しくて


失ったものの大きさに声が枯れるまで泣いた


泣き過ぎて化粧は崩れ酷い顔してるけど直す気力もおきなくてそのままチェックアウトしてタクシーに乗り込んだ



久しぶりの我が家。



玄関を開けリビングに入ると家を出たあの日と同じ席にミツは座っていた


「おっう…おかえり。」



『ただいま…』



「どうした？その顔…それに声も…」


『別に…。』


本当に夫婦だったのかってくらいよそよそしい会話


「まぁ…とりあえず座れよ。」



『うん』



向かい合うように座った



『ミツ…別れよっか。』


唐突に切り出したそれに面食らったような顔を見せて



「え…っ？何でいきなりそうなんの？」



『私、ミツに謝んなきゃいけない事があるの。』



「なに？」



『私、好きな人がいる。ミツがいない間に知り合って、、、浮気した。』



「………そんな気はしてた」



しばしの沈黙のあとにミツが言ったセリフに今度はこっちが面食らう



『な…んで…っ？』



「1年の半分しか居られなくても一応夫婦なんだぜ？女房の変化くらいわかるよ。」




『そんな…分かりやすかったかな…』



「しょっちゅうケータイ気にしてるし、俺と居ても心ここに在らずな感じだったからなー」



『ご…めん、、』



「で？そいつのとこ行くの？」



『ううん。……別れてきたから。もう一生会うつもりは無い』



「何で？上手くいってたんだろ？」



『そうだけど…10も年下で彼には未来があるから老兵は去るのみ！』



うふふと笑ってみせたけど上手く笑えなくて



「無理して笑うなって」



呆れた様なミツの優しい顔を見ていたら泣きそうになる

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