GUILTY 〜それでも愛してる〜＊岸優太＊

罪＊43 ページ43

岸くんの腕の力が強くなり痛いくらいに握られる


「遊びだったの？最初から？」


『そう…よ。』


目が見れなくて目線を外したままそう返すのが精一杯だった


「それでも俺は本気だよ。本気でAのこと…」



『言わないで！！お願い。聞きたくない…。』


「イヤだよ。失って後悔すんならちゃんと全部伝えたいから」



『じゃあ聞くけど、、、このまま私と付き合ってどうするの？絶対に誰にもバレない保証なんて何処にも無い。仮に私が夫と別れてもいつから私達の関係が始まったかなんてすぐに分かられちゃうよ。』



『アイドルが不倫なんて一番ダメでしょ、、。どれだけのファンの人が悲しむと思う？他のメンバーにだって迷惑かけるのよ？』



スっと力なく私の腕を離し床を見つめて拳を握りしめる


何かに耐えるような彼はアイドルという現実と向き合っているんだろう


『どうやっても私達に未来は無い。でも岸くんは夢があるんでしょ？』


“ミリオンヒットと五大ドームツアー“


そう私が言うと驚いた顔で見つめ返してきた


「それ…なんで…」


『岸くんなら、、岸くん達なら出来るよ。絶対。だからもう終わりにしよう。あの雨の日に出会う前に戻ろう。』


黙ったまま俯く岸くんに手を差し出して


『岸くん、歌上手いんだね。1回くらい歌ってもらえば良かったな。はい。さよならの握手！』


差し出された手を握り返され


グイッと思い切り引き寄せられその胸に抱き寄せられた


『ちょっ、、岸くんッ！』


「何で…こんな好きなのに…っ、、」


言葉を詰まらせ岸くんの瞳から大粒のキレイな涙が零れ落ちた


『アナタは私1人のモノになっちゃいけない人。決して自分のモノにならない人を好きになったのは私の方だったんだね。』


泣くな、泣くな、泣くな、泣くな。


呪文のように言い聞かせて涙を堪える



泣いたら全部崩れてしまう。この胸に…腕にすがり付いて離れられなくなるから


抱きしめたまま泣き続ける岸くんの背中を抱きしめてあげられたらどんなにいいだろう


いつも私が泣いている時は彼が何度もその優しさで包んでくれたのに


こんな返し方しか出来なくてごめんね。


『お願い…もぅっ、、』


感情を殺すのももう限界が近づいてきてその胸を押し返して離れようとした


「最後に1度だけでいいから、、、」


後頭部に回された手、、近づいてくる唇を拒む術なんて知らない。


そっと優しく触れるだけのまるでファーストキスのような口付けだった

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