10話。 ページ12
ベンチに座ってココアを一口飲んで一言。
A「あの、まずお名前から伺っても…?」
すると目の前の男性は、「あ、忘れてた。やべっ」みたいな顔をしていた。
「あ、スミマセンでした!僕は天宮翔太、音楽関係の仕事やってます!」
そしてぺこぺことお辞儀をしてくれた。
何だろ、可愛い系なんだね、この人。
じゃあ僕も…
A「七瀬Aです。大学生です。私も音楽に興味ありますよ」
天宮「おおっ!将来同じ業界とか就くのかもですね〜」
そうだ、将来何になろう?
歌い手で食べてくのは厳しいか…。
天宮「そうだ、何でこんな夜中まで起きてたんですか?」
うわっ、言葉に詰まる質問…。
一応誤魔化しますか…。
A「あー…。す、好きなアーティスト?の新曲観たくてずっと起きてたんです〜」
天宮「へー、かなり夜行性な方なんですかね?」
そうかもですね〜と適当に返す。
あ、次は僕から話しかけた方がいいのか?
A「天宮さんはどうしてこんな夜中に?」
天宮「ん〜、僕はですね…。友達とゲームしたりしてたら寝落ちして、今起きたんですよね〜。そしたらココア飲みたくなっちゃって。」
友達とゲーム…?
音楽関係の仕事に就いてたらそんな余裕無いよね…?
嘘、とかはないだろうし…。
あ、もしかしてアーティストさん!?
だとしたらヤバイかも。
サインもらっとこうかな。
天宮「Aちゃん?百面相して…どうしたの?」
あ、分かった。
この人天月さんじゃん(白目)
だって顔見たことあるし、声も聞いたことあるし…。
リスナーさんとかにバレたら刺されそうだな。
っておいおい、言ってる側から足音しない?
「あっ、ここに居たの!?あまちゅー、帰ろー?」
お、丘の下から叫んでるのって96猫さんじゃ…?
僕が居るのは角度的に見えてないんだと思うが、かなりヒヤヒヤする。
天宮「あっあのっえーっと、あまみやだからあまちゅって呼ばれてるだけで深い意味とかはっ」
96?「ん?他にも誰かいんのー?」
んんん、本当にヤバイぞ。
登ってきてない?足音的に。
A「あっあのもう日が昇ってきちゃうので帰りませんでしょうか…?」
無理のある言い訳だが、流石に修羅場は回避したい。
それは向こうも同じだろう。
天宮さんは無言で頷き、「ん?あぁさっきの野良猫だよ条約」を結んだ。
そして僕はそそくさと退散した。
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恋花レンカ - 面白いストーリーですね!更新されたらまた来ます! (2019年12月31日 20時) (レス) id: 8916eccc14 (このIDを非表示/違反報告)
sky* - 男だとばれたら、どうなるんだろ(笑) (2019年4月3日 0時) (レス) id: 6999f90ab0 (このIDを非表示/違反報告)
響音リリア - 面白いです!今まで見た事の無い設定なので、この先が楽しみです!頑張ってください! (2018年11月21日 16時) (レス) id: 4861b7501c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林檎紅茶 | 作成日時:2018年11月12日 23時