出会いはただの不審者 ページ9
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─────────……
もう何十年も前のこと。
あの日は久しぶりのオフで、何しようか悩んだ末
カメラを持ち写真を撮りに出かけたんだ。
目深に帽子を被って。マスクもして。寒いからマフラーもぐるぐる巻いて。
シンプルな服の上からコートを羽織って。
寒いソウルの街は今も雪が降りそうで。
フィルター越しに見えるものは冬の空気を纏っていて。
パシャパシャと数枚景色とか自然とか写していたら
何だか背後が騒がしくなってきた。
“あれって……え？…─── だよね？”
“あ…ちょっと………ねぇ！………だよ！！！”
1人、2人と聞こえる声が増えていく。
あー、またか。
見つかったらその場を去るしかない、宿舎に帰ろうとその場を急ぎ足で立ち去る。
黄色い声が増えていく。
何なら後ろから追いかけてくる。
早歩きだったのが気づけば駆け足になって。
少しずつ息も上がってきて。
しんどい。
チラッと後ろを見るとまだ数人、しつこく俺の名前を呼んだり、待って！って言いながらついてきてる。
TH「……はぁっ、しつこいな。」
曲がり角を曲がってすぐ、お店の敷地でごみ捨てしている人を見つけた。
もう息も上がってきて辛かったから、俺はその人に声をかけたんだ。
TH「……あのっ！すみません！ちょっと匿って！」
言うや否や俺はその人の手を引き開けっ放しになっていた裏口の扉にその人ごと入り扉を閉める。
「………え？…は？」
一瞬の出来事にその人は口を開け目を真ん丸にしていた。
TH「ごめっ…なさっ、………ちょっと待って…。」
説明しなきゃ、と思うけれど息が続かなくて。
「…………そこから動かないでください。動いたら警察呼ぶから。」
彼女はそう言い、お店の入口から入ってきたお客さんに気付き店内へ向かう。
息を整えながら向こうから聞こえる声に耳を澄ます。
「いらっしゃいませ。」
「あのー…ここに帽子被っていてぇ、コート羽織ってる背の高い男性…来ませんでしたかぁ？」
…まだ探してんのか。
……いますよ。って連れていかれたらどうしよう。
こんなお店の中じゃ逃げられないよ。
落ち着いてきた心臓が再びドクドクと鳴り出す。
今の俺はただの不審者でしかないし、あのお客さんと俺の関係なんて知らないんだし。
どうしよ……「申し訳ございません、お探しのようなお客様は来店されておりません。」
焦る俺の心の声を遮り、彼女は凛とした声で言った。
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ali(プロフ) - lemonyellowさん» はじめまして！初めてコメントいただけて嬉しいです！テヒョンをおじいさまとするのはどうなのかなーと思いつつも、彼は歳をとっても変わらず良い男性だろうなと想像して書き始めました。2冊目も開始しましたが最近話がまとまらず…また更新しますね！ (2021年2月21日 18時) (
レス) id: 5532d430b0 (このIDを非表示/違反報告)
lemonyellow(プロフ) - はじめまして。おじいさまなテヒョンさんを想像しつつ、2人の素敵なお話に、夢中になって最後まで読み進めてしまいました。今、目が乾いちゃっています。続きが楽しみです。 (2021年2月21日 17時) (レス) id: 121c3259e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ali | 作成日時：2021年1月15日 7時
