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??「Aさん、上の空ですね」
声をかけてきたのはこの店でアルバイトをする音大生のエーミール。
「あ、ごめんね。シフト考えてたんだ」
eml「シフトってAさんが考えてるんですか…ずっと店長やと思ってた」
本社から送られてきた段ボールを運んでいた彼は、最後の荷物を床に下ろす。中に入っていた音楽雑誌やスコアと呼ばれる楽譜のようなものを取り出そうとすると、「私がやっておきますから」と制される。
eml「もうすぐ学校に行く時間ですよね？」
腕時計を見ると、一般的には放課後と呼ばれる時間の少し前。
「そうだね。準備したらちょうどいい時間かも」
私は週に三回ほどとある高校の吹奏楽へ楽器のメンテナンスに行っている。普通の学校なら月に数回向かうことがあるだろうが、その学校は特別だ。なぜなら、吹奏楽の全国大会常連だから。学校側から頻繁に来てほしいと言われており、報酬もそれなりにいただいている。三月に入って少し経った今、新入生を迎えるために楽器などをメンテナンスしてほしいだろう。そのための部品などを鞄に入れていると、店の駐車場に一台の車が入ってきた。この店はとある楽器メーカーを冠しているが、そのメーカー名が入った営業車。そこから出てくるであろう人物をじっと見ていたら、何か言われそうだ。そう思って咄嗟に目を逸らした。
eml「Aさん、来ましたよ！」
私以上に声を弾ませるエーミール。
「分かってるよ」
冷静さに努めるため、部品の準備に手を取られているふりをした。扉が開き、その革靴を履いた男は真っすぐにこちらへ向かってくる。
??「この店は、入ってきた客に挨拶すらなしか？」
その男の顔を見上げる前に、遠くにいたエーミールの顔がちらっと見えた。彼は笑った顔を隠そうともせず、悪戯が成功したとでも言わんばかりの表情。意を決してその男の顔を見上げる。
「あー…ほら、来る人が分かってたから」
金色の髪というだけでも綺麗なのに、その髪を丁寧に整えているから、彼の顔はさらに端正なものに見えてしまう。
??「俺だと分かったと？どうして？」
意地の悪い顔。それでも良い顔に見えてしまうのは、私の心の問題だろう。
「車が見えたから、ね？あなたの車が」
またすぐに部品に目を落とす。もうメンテナンスに行くための準備は整ってるくせに。
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Alex(プロフ) - ひすいさん» 感想本当にありがとうございます！すごく嬉しいです…！実習の時に何があったのかとか、tnのパスみなどが出てくると思いますので…少々お待ちくださいませ！ (2022年9月24日 22時) (
レス) id: 130555b457 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 今回の作品も学校、部活動から得られる青春の感じも勿論あるのですがその中に不気味で真っ暗な穴の底を覗こうとしているような気持ちが湧き上がってきて、教育実習の時に2人の間になにがあって事件に繋がったんだろう、など色々考えてしまって今から続きが楽しみです (2022年9月24日 2時) (レス) id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 新作、今気づいて拝読させて頂いたんですがとてもゾッとしました。Alexさんの作品で初めて読んだのは「魔女集会で会えたら」シリーズだったのですが、その時からAlexさんの書かれる空気感がすごく大好きで魔女集会シリーズはよく見返しています。 (2022年9月24日 2時) (レス) @page1 id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2022年2月13日 21時
