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「ごめんなさい、遅くなりまして」
「いいのよ。さあ、入って？」
フューラー邸に来るのは何もこれが初めてではないし、なんなら昨日もここでお母さまとお茶をしたくらい頻繁に来ているつもりだ。ただ、どうしてもこの雰囲気には慣れない。絵に描いたような大邸宅。昼はお手伝いさんが数名で掃除をして、一流のシェフがわざわざ夕食を作りに来る。そんなことができるのは、この国を探してもフューラー一族を含め十もいないだろう。昔からある名のある家。政界で活躍する者、社長として成功した者、資産家として腕を振るう者。様々な経歴を持つ者が、この家の一族として名を連ねる。
gr「遅かったな」
既に着席していたのはグルッペンさんとその父親。
「ごめんなさい。患者さんの容態が急変してしまって」
「あら、グルッペンったら。家では亭主関白なのかしら？」
お母さまがそうからかう。その会話を合図に、家政婦が食事を運んできた。もう一人家政婦がやって来て、彼女はまずグルッペンのお父さまへワインを注ぎ、その後グルッペンに白か赤か尋ね、赤のワインを注いだ。その後にお母さまへ、そして最後に私の元へ台車を引いてやってきた。
「Aさま、本日のワインは赤と白をご用意しております」
「それでは、」
「いいのよ？Aさんはワインは飲まれないから」
赤ワインをお願いします。その言葉を言う前に、お母さまのセリフが挟まれた。
「そうよね？Aさん」
彼女がそう言うなら、そうなんだろう。今日、私はワインを飲めない。理由は分からないけれど。
「それでは、お水をお持ちします」
「ええ、そうしてちょうだい」
急いでもってきた水をワイングラスに注ぐ。
「それじゃあ、乾杯」
お母さまの音頭取りで私たちはグラスを掲げた。スープから始まったコース料理が、メインディッシュである魚のムニエルになるまで、お母さまは何度聞いたか分からないフューラー家の歴史について話し始めた。私はこれを、まるで初めて聞いたかのように聞かなければならない。どれだけフューラー家が優れ、自分がどういった経歴を辿ってきたのか、そしてどういう風にして旦那を、つまりグルッペンさんのお父さまと出会ったのか。どこに惹かれたのかを話す。その後はグルッペンさんがどれだけ優れていて、どういった女性に本当は嫁に来てほしかったのかを一通り話した後、締めくくるように「だから、Aさんのような方がお嫁に来てくださってとても嬉しいの」と目に皺を寄せて喜ぶのだ。
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amaterasu1451(プロフ) - やっぱり神作しか産まないんですね…楽しみにしてます！ (2019年3月24日 0時) (
レス) id: f456e6e890 (このIDを非表示/違反報告)
あお - すごい好きです！！高評価しときました。登録してなくてお気に入り出来ないのが悔しい(？)です… (2019年3月3日 3時) (レス) id: 609a23f8bf (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - 支配人Bさん» ご覧いただきありがとうございます！高評価も本当に恐縮です…！定期連載ではないのですが、頑張って続けていこうとおもいます！ (2019年2月25日 7時) (レス) id: 6059f767f4 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - うわぁぁ、すごい好きです！即お気に入りと高評価してしまいました！ (2019年2月25日 1時) (レス) id: f5dea51b58 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - Yuki.aruruさん» 応援ありがとうございます！続きも頑張ってもりもり書いていきますー！ (2019年2月24日 13時) (レス) id: 6059f767f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2019年2月24日 1時
