002 ページ4
「それには及ばん。君には特権がある」
「特権…ですか…？」
「君には御三家である間桐家の血が混じっている」
「…え…？」
まさか、自分のルーツをこんな時に知ることになるとは思わなかった。
「じゃなけりゃ、君を養女に、ましてや自分の助教授なんかにするわけないだろう？」
「ははは…そうですね…」
愛想笑いが下手なのは分かってる。
「それじゃあ、今日はお先に失礼させていただきます、お父様」
厭味ったらしくお父様と言ってやれば、「私はAの子供を見るのが楽しみなんだ」と高笑いした。
「その男なんてどうだ？時計塔で典位なら箔が付く」
「箔が付くように戦地へ行かれたらしい、ケイネス・エルメロイのことはご存知ですか？」
「ああ、彼は死んだ。鼻持ちならないただのボンボンだ」
お父様は吐き捨てるように言う。
「この男はいい男だった。お前にもぴったりじゃないか」
「まさか聖杯戦争に婿を探しに行けと？」
大げさに肩を竦め、教授室から出た。
***
飛行機を二度乗り継ぎ、やってきたのが今回の地。ドイツのドレスデン。聖杯はここに現れるというが、ひとまず聖杯よりもエーミールという男に会わなくては。お父様に聖杯戦争へ行けと言われた次の日、まさかと思いながらサーヴァント召喚の儀を執り行った。召喚は成功。やっぱり自分には特権というものが付与されているようだ。クラスはライダー。彼の名前は…まあ、彼のことを紹介するのは後にしよう。千鳥柄のグレーのコートに、中には黒のタートルネックを着込んだ。この寒い日にスカートでほっつき歩くのは難しい。黒いスキニーパンツをブーツの中に入れた完全防寒。オペラ劇場の前でエーミールを待っていると、皮手袋をしながら両手をこすり合わせ、マフラーに顔を埋めた男がやってきた。歩くたびにミルクティー色の髪が揺れ、こちらに気付くとマフラーを取って歩く速度を上げた。
eml「初めまして。失礼ですが、あなたが#name1#さんでお間違いないでしょうか？」
「ええ、そうです。それでは、あなたがエーミールさん？」
eml「はい、私がエーミールです」
イギリス訛りの英語を聞くのは久しぶりだ。皮手袋とコートの間にあった腕時計を確認し、「寒いのでどこか入りませんか？」と提案をする。近くのカフェに入ろうとすると、イギリス仕込みのエスコートで「お先にどうぞ」とドアを開けてくれる。私の住んでいた北欧でもないことはなかったが、英国紳士にされるのとはまた別だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
骸(プロフ) - Alexさんの作品いつも読ませて頂いてます。Alexさんの書く世界観がとても好きです。ところで質問ですがrbrさんのモデルとなった人物ってありますか？あったら名前を教えていただけると嬉しいです。 (2019年5月30日 0時) (
レス) id: 8d449d26e0 (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 前々からAlexさんの作品が大好きだったので、このfateパロ作品が見られてとても嬉しいです。サイトを移行すると見たので、こちらのサイトでまた見られて嬉しいです。更新楽しみにしてます (2019年1月3日 18時) (レス) id: cce4af5beb (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - ろっぴさん» お待たせしました！徐々に更新して参りますので、ぜひご覧くださいませ！ (2018年12月30日 22時) (レス) id: c11bbf90de (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - いちごねこ(コハル)さん» コハルさん、ありがとうございます！これからはこちらで更新しますので、どうぞ宜しくお願いいたします。 (2018年12月30日 22時) (レス) id: c11bbf90de (このIDを非表示/違反報告)
ろっぴ(プロフ) - このような作品まってました!!!!更新頑張ってください!!!! (2018年12月30日 21時) (レス) id: 213a7ff013 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2018年12月29日 22時
