016 ページ18
そう言って彼は扉から出ていった。一瞬こちらを見て、彼女の方に目くばせをした後、また私を見た。相手をしろ、ということだろう。彼がしていたように、隣に膝をついて彼女の顔を覗き込んだ。
「びっくりしたでしょう？こんなしわくちゃなおばあちゃんで」
「いいえ、シスター。刻まれた皺は幸せの証拠だと、私の師が申しておりました」
魔術を学んでいた時、担当してくださっていた先生がそう言っていた。
「そうかいそうかい。ありがとう。こんな皺を褒めてくれんのは、あんたとシャオロンくらいだよ」
sya「シスター！俺の名前言うたらあかんって！」
「ああ、そうだったね。ごめんよ？」
トレーにお茶を三つ用意してやってきたシャオロン。焦った様子でそれを丸テーブルの上に置いた。
「あんたが最後だよ、ライダーのマスターさん。今やこのドレスデンには七人のマスターとサーヴァントがいる」
自分が唾を飲み込んだ音が部屋に響いたような気がした。
「日本、冬木の地を離れた聖杯が、今回ドレスデンで出現する」
「どうして…冬木ではないんですか…？」
「それは直接聖杯に聞いてみるといい。私はただ、監督役を時計塔から仰せつかっただけさね」
シスターは言い終わると、ゲホゲホと咳き込む。
sya「薬飲んだん？飲まんかったやろ？あかんやん、医者に飲めって言われとんのに…もう…」
シャオロンはかいがいしく彼女の世話をしていた。薬を棚から取り出し、二粒彼女の手に乗せる。それから水を渡し、シスターがしっかりと喉を鳴らして飲み干すまでを観察していた。
sya「話終わりやから、マスターは帰すで？ええやんな？」
「また何かあればここに来なさいね」
***
sya「まあ、シスターの言う通りやから。何か分からんことあったら来ればいいし、何もなかったら来んでええし」
「…シスターの、サーヴァント…なんだよね…？」
sya「一応な」
一応って…。呼び出されたんじゃないの？
sya「見ての通り、あの人はあんなんやから無理はさせたくないねん。せやから、今回俺は傍観者。ほんまは戦ったりしたかったし、聖杯もできればゲットしたかったけどなー…」
「参加すればいいじゃない。ダメなの？」
sya「魔力吸い取ったら死ぬやろ、最悪」
「ちなみにさ、二人は魔力供給ってどうやってやってる…んですかね…」
聞いていいものか分からなかったが、気になったので聞いてみた。
sya「…血液やな。言うても、ペロっとするだけやけど」
「…え！？それでもいけるの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
骸(プロフ) - Alexさんの作品いつも読ませて頂いてます。Alexさんの書く世界観がとても好きです。ところで質問ですがrbrさんのモデルとなった人物ってありますか？あったら名前を教えていただけると嬉しいです。 (2019年5月30日 0時) (
レス) id: 8d449d26e0 (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 前々からAlexさんの作品が大好きだったので、このfateパロ作品が見られてとても嬉しいです。サイトを移行すると見たので、こちらのサイトでまた見られて嬉しいです。更新楽しみにしてます (2019年1月3日 18時) (レス) id: cce4af5beb (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - ろっぴさん» お待たせしました！徐々に更新して参りますので、ぜひご覧くださいませ！ (2018年12月30日 22時) (レス) id: c11bbf90de (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - いちごねこ(コハル)さん» コハルさん、ありがとうございます！これからはこちらで更新しますので、どうぞ宜しくお願いいたします。 (2018年12月30日 22時) (レス) id: c11bbf90de (このIDを非表示/違反報告)
ろっぴ(プロフ) - このような作品まってました!!!!更新頑張ってください!!!! (2018年12月30日 21時) (レス) id: 213a7ff013 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2018年12月29日 22時
