■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■10 ページ10

「お帰り」

「ただいま」


「オナカ空いた・・・泣きそう」

「なあなあ」

「ん？あぁ・・・ぎゅるぎゅるオナカ鳴ってる・・・」

「Aお前な、休みの日ぃとかメシどないしてんのん？」

「自分で作ったりとかー・・・友達と食べに行ったりとか、かな」

「お前メシ作れんのん？」

「・・・すばるくん程じゃないけど、一応女子だしそれなりに・・・」


ニヤニヤしながら信じてなさげな顔されてる私って、どれだけ女子力無いと思われてるのかしら。

そりゃ確かに？

今あなたが美しく巻き上げてる出汁巻きとかは作れませんけど？

そんなに美しくは巻けませんけど？

それでも過去にはそれなりに美味しいって食べてくれた人もいたんだっつーの。

・・・記憶を辿って辿って辿らなきゃいけないぐらい遠い過去だけれども、そこは黙っておこうと思うの。

なんとなく。


「なあなあ」

「なあに？」

「作ってぇな」

「何を？」

「メシに決まっとうやん、今までの流れやと」

「ほんまアホやな、お前そんなんでよう社会で生きて行けんのう？」

「・・・それなりに・・・」

「ってか、ヤダ！！絶対ヤダからね！！！」

「何でやねん！日頃の感謝を込めてやな、俺に手作りのメシ食わせたいとか思えへんのかいな！！」

「全く思わない」

「女子力ひくっっ！！！」


日頃の感謝っていう意味がそもそも理解出来ない。

そりゃいつも美味しいごはん作ってくれるけど。

でも。

私ちゃんとお金払ってる・・・。

っていうか、お客が店主に感謝って一体どういうシステムな訳。

すばるくんがお誕生日とかならまだしも、それでもお花送るとか何か送るとかでしょ？

どうしてプロに料理を作るなんてスパイシーな罰ゲームみたいな事になるの？

・・・どれだけバカにされると思うのよ。


「とにかく、すばるくんに料理作るのはイヤ」

「何でや！！」

「感謝はしてるけど、それに対しての対価は払ってるしその感謝をどうして料理っていう形で表さなきゃいけないのかそこがもう理解不能」

「好きなオトコに料理作ってやりたいとか思うやろ！？」

「あんまり思わないけど、頑張ってみようかなぐらいは思うかも。好きな人だったら」

「せやろ？せやろ！？」

「でもね？」


「それと・・・すばるくんと何の関係があるの？」


ｷｲｲｲｲｲ！ほんまにこのアホが！！って文句言われてるんだけど。

だったら料理が上手なすばるくんがお休みの日に作ってくれたらいいのに、ってぼんやり思ってた。

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