■乙女でごめんくちゃい■□食堂すばる□

日替わり定食■6 ページ6

「お帰り」

「ただいま」


「あ、ねえ知ってる？すばるくん」

「何を？Aがブサイクな事か？」

「私今ね、一言でもブサイク関連ワードを口にした？」

「してへんけど、ビビっと感じてん！！」

「すっごく便利な能力ね」


思えばあのおじさんもおばさんもここにはもういないんだから、どうして私が毎日こんなしょっぱい思いをする為に通わなきゃいけないんだろう・・・っていつも思うんだけど。

習慣っていうか、流れっていうか。

人間って惰性的な生き物なのね、ってほんとつくづく思うわ。


「んで何やねん」

「何が？」

「A、ブサイクな上に頭も悪いんか？」

「聞き捨てなら無い事を一度ならずも二度までも言ったわね？」

「人間、真実を突かれると怒り出す生きもんやねんな・・・」

「哀れんだ目は止めてくれる？泣きたくなるから」

「胸貸すで？」

「私より背が低くて小さいのに？」

「ちっさいて2回も言うたやろ！」


実際すばるくんは背が低いし痩せてるし。

痩せてるっていうより華奢なのよね。

憎いぐらいに。

私の色んなところの肉を引きちぎって張り付けてやりたいわ。

見た目だけだと、色んな女子力負けてる気がするのよね。

実は超絶にキレイな顔してるってのも、ついこないだ気付いたし。

・・・まぁでも。

いくら女子力高くて顔がキレイでも。


「カラダはちっさいけどな、ムフフなとこはマグナムやで！！」


って言ってる時点で全てが帳消しで相殺よね。

それどころか、かなりマイナス要素の方が大きいと思うのよ。

実際のとこ。


「だから何やねんな」

「あぁ、駅前に新しい定食屋さん出来てるの」

「知っとうで」

「余裕ね」

「だって実際アレやん」

「店選ぶんはお客さんやさかいな。色んなとこ行って色んなもん食べたいやん」

「まぁ俺が目指しとんはたまに食べる外食やのうて、毎日食うても飽きんメシ屋なりたい思うてるから」

「他は気にせえへん。っちゅーかヨソはヨソやん？」

「・・・うん、そだよね」


何かすっごくその言葉がすばるくんらしいなって思って。

この人って気にしなさそうなんだもん。

他人の目を気にして生きていくレベルなんて、とうの昔に終わった気がするの。


「今度帰りに行ってみようかな」

「あかんで」

「ハア？すばるくんさっき決めるのはお客さんって言ってたじゃない」

「お前はあかん」

「・・・自分勝手」

「アホやろ、自分」

「何故」

「お前のアホさ加減に慣れてきたんが悲しいわ」

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